東京・湾岸地区▼①相場の細分化進む 物流不動産市況
現在の東京・湾岸地区の賃貸倉庫の平均相場は次のとおり(冷凍・冷蔵倉庫などは除く)。
江戸川区 | 坪4,500~7,500円 |
江東区 | 坪5,000~8,000円 |
港区 | 坪5,500~8,500円 |
品川区 | 坪6,000~9,000円 |
大田区 | 坪6,000円~9,000円 |
江東区(新木場では約坪1万円)・港区(芝浦1丁目では坪1万円)・品川区・大田区内の平均相場は上昇している。特に大田区は2009年に計画される羽田空港再拡張による年間50~70万トンの国際貨物が見込める為、羽田空港エリアでの相場が上昇されると予測される。現状、羽田空港に近いエリアにテナント移転が起こっており空き倉庫が少ない。
東京・湾岸地区全体をみると地理的強みを活かし、相場は強含みの傾向にあるが、湾岸地区における地域ごとの相場の細分化が進んでいるため、相場は従前に比べても開きがある。そのため各区域内の明確な平均相場の提示は極めて困難な状況となっている。
その理由はどこにあるのか? 外資を中心とした高機能型の大規模倉庫が大量供給されたことによる、中小規模倉庫への玉突き現象が一巡したといわれるなかで、高機能型大規模倉庫の賃料が高く、中小規模倉庫が安値を付けているという見方をしがちだが、実際はそう単純な話ではない。たとえば大規模倉庫の場合で言うと、一般的に地区の平均相場として提示される価格帯、もしくは若干下回る価格で安定提供されるケースがほとんどである。
ファンドはテナントクレジットがしっかりしていて長期定期借家契約で長期使用が確立されれば多少賃料をディスカウントしても採算が合うからである。ただ最近は物件取得競争の過熱により取得コストは増大している。賃貸に反映され、相場を上回るケースもみられるようになった。
次回は細分化の理由について探っていきたい。
(イーソーコ総合研究所・編集部)