大型物件 − 第12回 再び学ぶ物流不動産
物流不動産が脚光を浴び始めたのは、2001年からの超大型物流センターの開発ニュースでしょう。外資系施設開発会社プロロジ スはすでに1兆円を超える投資規模を誇り、各地に巨大な物流施設を開発しました。堰を切ったように競合各社も輸送企業もやたらと巨大施設開発に話題が集中 しています。
当初は大手上場製造、流通業や特積み路線業者の新規センターとして定着し、最近では3PL事業者の経営戦略の大きな要になっています。優れた物流拠点を擁することが競争優位につながってきたからです。
一頃よりは落ち着いてきたものの依然として活発な開発動向は、今後はテナントクレジットと呼ばれる荷主開拓という営業活動の重要性が言われ始めて います。大手企業の注文住宅として販売されてきたメガ物流センターが一巡したとき、次は3PL事業者による一括販売、そして中堅企業の集合用途としての分 割販売に移行することが理にかなうからです。
そこで期待されているのが我々のような物流不動産にチャンスを見いだそうとしているフリーランスの営業力です。大型物件といえども一括販売ができなければ、分割販売や共同物流を前提としたネットワーク利用です。
中堅の倉庫業や輸送業者による3PLビジネスの台頭にもメガ物流施設は効果的です。何より輸送や作業時間の短縮につながる構造を有した施設ですから、従来の価格競争力とは比べものがありません。
大型物流施設の開発は計画と同時に販売情報が共有化されます。主要な交通の要所や国際物流の拠点、周辺郊外に計画される物件は、物流業界ニュース によって積極的に広報されていますので情報の入手は容易です。新聞の地域経済欄でも大きく扱われるようになりましたから、新鮮な情報を入手して案件の規模 を把握して商談に臨むべきでしょう。
開示されている物件の条件は、不動産特有の一物複数価格の事情がありますから、積極的に案件商談を進めることが優位な条件を引き出すことにつなが ります。単体では持てあますようならパートナーシップを組んで共同営業というスタイルも必要でしょう。大型物件は物流設備、情報システム、ファシリティ工 事などの複合開発が欠かせず、ビッグビジネスとなっているのです。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)