日本建築家協会関東甲信越支部建築セミナー▼イーソーコの「Re・倉庫」事業に建築家から熱い視線 
2008年07月18日 (社)日本建築家協会関東甲信越支部(略称・JIA)は、イーソーコグループが手がけた「RE・倉庫(リ・ソーコ)」事業の事例見学会を9月12日に実施。若手を中心とした建築家・設計者、建築家の卵ら約40名が参加した。
<写真・(左)東京倉庫運輸・池田取締役総務部長
(右)イーソーコ・大谷副社長>
同見学会はJIAのセミナー組織である「JIA建築セミナー実行委員会」(木下庸子・渡辺真理委員長)が主催。イーソーコ「RE・倉庫」事業の第1弾として行われた「TBWA\HAKUHODO」、倉庫施設からバレエスタジオ・設計事務所へと転身させた「アーキタンツ東京湾スタジオ」の事例を中心に倉庫コンバージョンの現状を知るために企画されたもの。
当日は見学を行う前に、「RE・倉庫」事業を手がけるイーソーコグループとオーナー側の東京倉庫運輸側から、次のように倉庫の現状、「Re・倉庫」事業の展望が説明された。
●イーソーコ・大谷巌一・副社長
「現状の倉庫業について」、規制緩和とその後の物流不動産施設の台頭で、環境が大きく変わりつつあるなか、①「物流不動産施設の活用」、②空きスペースを倉庫の躯体を活かし収益性のある施設に蘇らせる「RE・倉庫」事業の推進-が今後の鍵を握ると解説。
●イーソーコ総合研究所の平澤賢一・エンジニアリング部長
イーソーコグループが実際に手がけた事例として、①「TBWA\HAKUHODO」(オフィス)、②「アーキタンツ東京湾スタジオ」(設計事務所・バレエスタジオ)、③倉庫施設から写真撮影スタジオへと転身を図ったケース、④倉庫施設からアートギャラリー・ショップへと転身を図ったケース―の4つをスライド入りで紹介。
●イーソーコ総合研究所・経営企画室・河田洋平室長
「RE・倉庫」事業は、①十分な床荷重、②5メートル以上の天井高、③柱梁構造で窓開け可能、④設備対応が容易―な特徴を持つことから、ほかの設備に比べ、自由な設計へとコンバージョンができるプラス要因がある一方、ビジネス展開をする上では、①建築的問題、②時間的問題、③金額的な問題、④環境問題への対応―の4つの課題を考慮しなければならないことを指摘。イーソーコグループでは協力会社との協力のもと、物流・不動産・建築・金融・システム関係のスキルを持って、こうした課題に対処していることが語られた。
●東京倉庫運輸・池田浩大・取締役総務部長
「RE・倉庫」事業を受けたユーザー側(ビルオーナー)の意見として、東京倉庫運輸の池田浩大・取締役総務部長から「老舗倉庫業者の想い」として、倉庫業に対する想いを熱弁。これまで一環して倉庫業を主体に置きつつも、時代の流れのなか、倉庫によっては埋まりにくい環境があるなか、常に最良の事業展開を模索し続けていたことが明かされ、今回の「RE・倉庫」事業では、倉庫の空間を活かし魅力あふれる施設へと生まれ変わったことへの感激の念を露にした。
また横浜の赤レンガ倉庫、東京北区の赤レンガ図書館、さらにはニューヨークでの港湾倉庫の再開発プロジェクトなど、場所・時代を問わず、倉庫の特徴を活かした「RE・倉庫」事業が活発に行われていることを受けて、在庫圧縮・施設集約化の流れのなか「倉庫」の役割は縮小しているといった声も一部ではあがっているが、「倉庫にはまだまだ可能性がある(WAREHOUSE ALIVE!)」と訴えた。
その後、「TBWA\HAKUHODO」(第三東運ビル5・6階)、「アーキタンツ東京湾スタジオ」(第三東運ビル3・4階)を実際に見学。倉庫施設の有効活用にみな熱い視線を向け、参加者からは「RE・倉庫」を活用した施設建設に何らかの形で関わりたいとの声が多数あがっていた。
<写真・「RE・倉庫」事業では倉庫施設が>
<写真・ここまで変貌を遂げる(アーキタンツスタジオ)>
今回のセミナー主催者であるJIA建築セミナー実行委員会・木下庸子委員長は見学後、「日本では、作っては壊す、スクラップアンドビルド型の建設が主流だったが、欧州などでは昔から既存施設をリニューアルし、活かす手法が一般的に行われてきた。ニューヨークにおける倉庫施設のリニューアルを実際に目にしてきたことがあるが、堅牢で柱間隔の広い空間の倉庫には大きな可能性がある。今回の見学会を契機に『RE・倉庫』事業にも何らかの形で寄与できれば、と考えている」とコメントを寄せ、「RE・倉庫」事業への期待を露にしていた。