日通総研「貨物輸送の見通し」▼09年度の総輸送量は前年比7%減 
2009年04月02日 【月刊ロジスティクスIThttp://www.logi-it.jp/】日通総合研究所は「2009年度の経済と貨物輸送の見通し」(改訂)について公表した。
金融不況到来のなか2009年は、欧米・アジア各国の経済成長率がマイナスに転じるとみられるなか、日本経済においても08年度下半期から大幅が落ち込みをみせ、仮に2009年4~6月以降ゼロ成長で推移した場合でも、09年度経済はマイナス4%近い成長を余儀なくされるとみられる。年度内にマイナス基調を脱すことは困難な状況にあることから、本格的な回復は2010年度以降になるとみられる。
こうした状況を受け、貨物輸送の見通しも厳しいものとなっている。
09年度の国内貨物輸送は、国内景気のいっそうの落ち込みに伴い、全品類とも前年度水準を大きく下回り、総輸送量は7・0%減と前年度の6・8%減に続きL字型の推移が予想される。
消費関連貨物についても、個人消費は冷え込むことから、日用品などを中心に6%台半ばのマイナスへ。
生産関連貨物については、設備投資の停滞が続くなかで、鉱工業生産にさらに一段の落ち込みが見込まれ、機械・機械部品や鉄鋼は2桁減が避けられず、化学製品・世紀輸製品、紙・パルプも低調に推移することからトータルで15%前後のマイナスとなるとみられる。
一方、建設関連貨物は公共投資がプラスに転じることから、1%程度の小幅な落ち込みにとどまるとみられる。
輸送機関別でみると全機関とも軒並みの大幅減。なかでもJRはコンテナが2桁の11・5%減が見込まれ、最大の落ち込み。余裕があったときのモーダルシフト化の後退が顕著となる。また国内航空も、需要不振とコスト減のためにトラックの回帰が進むことから8・4%減と低迷している。内航海運は、羽田空港第4滑走路建設向けの土砂輸送需要はあるものの、主力の石油・鉄鋼輸送の不振を受けて7・1%減。トラック貨物についても、6・7%減と前年度に続き6%台のマイナスとなる。
▼外貨コンテナ輸出入下げ幅は過去最大
09年度の主要9港の外貨コンテナ貨物輸出は、世界経済の影響が上期まで続く。夏場以降、中国や新興国向け貨物を中心に減少幅は縮小していくとみられるが力強い回復は期待できない。年度全体では19・6%減と過去最大の落ち込みとなり、絶対量では02年度水準近くまで落ち込むとみられる。
輸入についても年度全体では3年連続のマイナスとなる8・4%減。縮小幅は輸出同様、過去最大となる見通し。
国際航空輸出は年度全体で32・8%減。国際航空輸入は5年連続のマイナスとなる20・2%減となる見込み。
▼国内向け出荷量はL字型推移が当分続く
国内向け出荷量「荷動き指数」は1~3月実績ではマイナス75となり過去最低水準の08年10~12月実績をさらに18ポイント下回った。4~6月見通しではマイナス74と、こうしたL字型推移は当分続くとみられる。
4~6月見通しの輸送機関別「利用動向指数」は、宅配便以外の輸送機関については1~3月実績より小幅改善が見込まれるものの、軒並みマイナス50を超える大幅なマイナス。
4~6月見通しの輸出入貨物量「荷動き指数」は1~3月実績と比較して大きな動きはみられなかったが、輸出では外貨コンテナ、国際航空ともにマイナス70を超える大幅なマイナスを記録し、利用の減退が続く。
4~6月見通しの運賃・料金「動向指数」は全機関とも、1~3月実績より低下し、鉄道コンテナが唯一ゼロ水準にとどまるものの、それ以外はマイナスとなる。