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SBSホールディングス 鎌田正彦社長 − キーマンに聞く 第15回 

 アセット型とノンアセット型の融合型物流不動産戦略を展開―。物流だけでなく、人材派遣や金融などの事業を多角的に運営するSBSホールディングス。物 流施設についても“変形型アセット経営”とし、独自の戦略を描く。その基本には、物流に目線を置きながら、常に新しいことに挑戦していかなければ、「企業 の成長はない」という考えがある。SBSグループの物流戦略を追った。

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<写真・鎌田正彦社長>

 ―物流施設戦略としてアセット型でもノンアセット型でもない、新しい形を遂行している。

 鎌田 アセット型とノンアセット型の中間と言えるだろう。当社で土地の仕込みから建設まで行い、お客様にあっ た物流施設を作る。そこまでは、普通のアセット型の流れ。ただし、アセット型は投資金額が大きくなる。各地に物流施設を作って、お客様を取り込もうとした ら、資金がいくらあっても足りない。そんなスキームでは仕事にならない。そのデメリットを回避するために、途中で物流施設を流動化する。流動化したところ で資金が回収できるため、一定規模の投資金額があれば、新たな投資を繰り返して行うことができる。

 ―この状況で物流施設の売り先は見つかるのか。

 鎌田 それは大丈夫。各国の年金を運用しているファンドや、シンガポール、米国のファンドなどから話が来てい る。金融危機があったが、だんだん資金が動き出したように思える。現状、土地・建物で220億円程度保有している。物流施設戦略として、200~300億 円程度を保有することを考え、土地の仕入れと流動化を進めていく。

 ―ファンドに売却する場合、長期の契約期間を結ぶリスクがあるのでは。

 鎌田 ファンドと10-15年の契約にすることが多いので、お客様との契約も長期でお願いしている。このス キームを利用するのは1万坪を超えるような大型案件が中心。拠点の集約や再編という話になるので、お客様も長期で見た物流改善を考えている。当社もそれに 応えられる物流改善提案をし、そのための物流施設。契約も長期で応じていただける。

 ―物流不動産への投資について、“投資をしよう”と判断する基準は。

 鎌田 全てはお客様の要望。お客様によって、求める立地や規模はバラバラ。それに合わせて、土地を仕入れて、 物流施設を建設していくだけだ。ファンドは物流施設に投資するが、物流を本業にしている当社では、それはしない。お客様のニーズに最適な物流施設を作り、 完成後も物流センターの運営を受託し、物流業務の提供を中心に考えている。

 ―投資ではないと。

 鎌田 目線は物流。土地を購入する金額が決まれば、物流施設を建てた後の大体の賃料は分かる。その賃料が“自 分だったら”借りるかをポイントにしている。ここ数年間、土地の入札でファンドと競合することもあった。ファンドが非常に高い値段で落としていった現実を 見てきたが、“自分だったら”という目線をずらすことはなかった。

 ―焦りはなかったのか。

 鎌田 落札できないのは、しょうがない。次に気持ちを切り替えるだけだ。そのおかげで、この景気状況になったが、不動産の評価損はほとんど出していない。バブル崩壊と言っているが、当社ではそんなことはない。

 ―施設を賃貸するという考えはないのか。

 鎌田 2000坪程度の案件は賃貸する。最近は、そういった小型の案件が多い。しかし、大型案件になると、な かなか合致する施設がない。施設があったとしても、時期が合わない。お客様が引っ越しするまでその施設をおさえるためには、賃料が発生する。それなら、お 客様にあった施設を作るほうがいい。今まで、京田辺(京都)、入間(埼玉)、川越(埼玉)、野田(千葉)と開発を行ってきて、自信が付いてきた。

 ―具体的には。

 鎌田 ファンドの施設をお客様にご案内するときもある。実際に見てみると、使い勝手が良くないことが多い。例 えば、ウィング車を開けたら、ウィングが上のスプリンクラーの配管に当たってしまったりする。そういった細かいところは、物流を知っている企業じゃないと 設計ができない。

 ―経営にも新しい物流施設戦略を落とし込んでいる。

 鎌田 今までの物流企業の場合、営業所ごとに収益を見ている。営業所はほとんど自社保有の施設。償却まではト ントンだが、償却が終われば大きな黒字が出る。それで安心してしまっている。安心しているところに、企業の成長はない。本当に利益が出ているのかを考えさ せるようにしている。それで導入したのが収益還元法だ。

 ―なかなか現場には厳しいやり方と聞いているが。

 鎌田 不動産を本部で一括管理して、それを営業所ごとに賃貸する。簡単に言うと、この営業所の施設を外部にい くらで貸せるか、その賃料でペイできるように営業所を経営する。そうすれば、現在やっている物流業務が本当に適正な価格で受けているのかが一目で分かる。 この計算をやったら、収益を出していても、ほとんどの営業所が赤字になった。そうすることで、現場はコスト削減や、お客様から収益を得られるサービスを考 え、動くようになった。それが、物流のプロである企業の本当の姿だと思う。

SBSホールディングスHP
http://www.sbs-group.co.jp/