ビールの共同配送 − 56 
6月30日、アサヒビールとキリンビールが首都圏での共同配送について発表を行った。
ビール業界に限らず、物量の少ない地域では行うこともあるが、主戦場となる首都圏での共同配送は、あまり聞いたことがない。
両社のプレスリリースでは、CO2削減を眼目に置いている。年間、東京ドーム8個分のCO2が削減できるという。そのほか、メディアによれば、震災に向けた対応も考えていると書かれている。今回の地震の際に、トラック確保が難しく、配送がスムーズにいかなかったという。共同配送により、非常時でも、トラックなどの融通が利くような体制にするという。
こういったニュースで気になるのは、共同配送のコスト負担だ。
両社がどのようにしてコスト負担をするのか?が明確でなければ、物別れに終わる。正確なコスト分担を出すとなると、輸送情報が必要になり、それは重要な経営データでもある。そのため、両社が妥協しなければならなくなる。業界1位の争いをしているだけに、コスト負担をどのように決着を付けたのかが、気になるところだ。
キリンとサッポロは、北海道や千葉などでグループ会社も含めた共同配送の実績がある。今回の動きに対し、サントリー、サッポロが同調するのか、別の飲料メーカーも含めた方法を模索するのか。
共同配送は、当初、東京の6区における小口配送と、茨城など4県の空き瓶回収などで実施される。効果が上がれば、他のエリアにも拡大する予定だという。
キリンが今まで行ってきた共同配送のノウハウを活用して、都心部の共同配送も成功できるのか?業界1位を争う両社がコストなどの問題で、打ち上げ花火で終わってしまうのか?注目したい。