物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
最新ニュース・情報を発信しています。

  • メール会員情報変更
  • メールマガジンバックナンバー
  • ニュースメール配信登録

BCPにおける物流の役割 − 第3回 クライシスマネジメントと物流対策

 事業継続に不可欠なリソースが被害によって、喪失したり、使用不能となれば、現場を任されている担当が考える手はただ一つ。
 いかにして代替手段を確保するか、である。とうてい修理や何か別のものを作り出すことはできない。すると検索と手配と調達に向かうのは、救急物資と同じである。
 在庫があるか、代用品はどうか、それはどこか、手当ができるか。
正に人と物の問題は物流が得意領域としているはずだ。BCPはそのまま物流課題であることに気づく人は少ない。
 製造であれ、販売であれ、リソース喪失は代替品でカバーしなくてはならず、手配や輸配送は早い者勝ちの短期決戦が必要である。今回の災害でも、はじめに燃料手当、次に発電機の手配で差が出た。
 小売店は商品不足で販売も不振となるだろう、という予想は全く外れていて特売不要、在庫品の一層、仮設店舗や移動販売に踏み切ったところが賑わってい る。売上半減でも確実に利益が積み上がっているのが事実なのだ。特売と物流サービスで利益を削り、しがない競争に明け暮れていたことが証明された。
 幸いな事は限られていて、不幸な事実が様々に広がりまとめることや整理することができないように、普段の苦労はなかなか報われない。しかし、緊急事態やこの度の災害の結果では、遺された者に成果が積み上がっていることを知らねばならない。
 BCPは継続を続ける努力と幸運に恵まれるための秘訣であって、準備や態勢、関わりのある人びとの幸運がつながることを願うことにも似ている。最後の砦は物流であることに気づいたとき、企業は続きそして次の歴史を歩み始めているのだ。
 BCPにおける想定やシミュレーションはムダであったことが、各社の報告から明らかになっている。想定は外れ、予想外の事態に慌てる事ばかりが続き、そ して手配は遅れ、事業の再開に目処が付かない。マニュアルを読み直す時間もなく、また内容に頼りになる情報は書かれていなかった。限られたメンバーでのプ ロジェクト活動から生まれるBCP策定活動は、必要だけれども十分ではない。それは想定という条件から始めるからであり、事実は想定を越えたところで起き ている。
 事業の継続に必要なのは、壊れた器材を直すことではない。行方不明になった原材料や作業者を集めることでもない。取り扱う商品や製品がどんな原材料を必要としているかは、それを仕事とする人には承知のことであり、連絡が取れすに調達や手配ができないことが問題なのだ。
 行って確かめるしかなく、受け取りに出向いて探し出すしかないのである。そのことを代行できるのが物流であり、物流活動を人だよりにしているならば、ホ ゾを噛むばかりだったのが現実なのだ。連絡が取れす、状況が分からず、誰も約束をしてくれないとき、現場ができることは出向くことしかない。そこに原材料 があり、そこに商品が届いているかも知れないときに、情報システムや業務分担などは役には立たない。行くしかない、確かめるしかない、見てくるしかないの だ。
 物づくりや新しいビジネスモデルも、情報や役割分担が崩れてしまう緊急事態にはミス殻が動くしかないのだ。それが物流であることに気づいたのが、今回の事件ではなかったか。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房陵)