JA-LPA▼大震災と物流不動産をテーマに第5回セミナー 
2011年09月19日日本物流不動産評価機構(JA-LPA)推進協議会は9月5日、「大震災と物流不動産」をテーマに第五回セミナーを開催した。物流および物流不動産の専門家四人がそれぞれの切り口から講演し、来場者は震災の教訓から得た物流不動産の在り方について話した。
日本政策投資銀行地域企画部の寺崎友芳主任研究員は、「東日本大震災の被災状況と復興への課題」と題するリポートを紹介。倉庫業については、全体として内陸部に比べ、沿岸部の被害が大きく、「福島第一原発の影響により、製品仕向け地からの放射能測定の要請」(福島内陸部、沿岸部)なども実態を報告した。
流通経済大学の矢野裕児教授は、「東日本大震災以降、荷主が物流面のリスクマネジメントを強化し、物流会社と物流施設の災害対応能力を評価軸の一つとするようになった」と指摘。物流施設のニーズの変化としては、耐震性、内陸部の立地、情報通信手段や電源バックアップの確保、機械化・自動化の見直しなどを挙げた。
日本物流施設(東京都港区)の河田栄司社長は、物流施設の震災への今後の備えをテーマに話した。東日本大地震以降、名古屋、関西への一時避難や湾岸部回避といった現象を報告。耐震、免震構造の重要性を強調するとともに、耐震対策に関連する各種補助、リスク分散や省エネ対策、自家発電設置など日頃の備えをアトバイスした。
清水建設業環境・技術ソリューション本部の前林和彦BCP・防災ソリューション室室長は「東日本大震災に学ぶ大地震への備え」として、最新の知見を基に事業継続対策を提案。免震構造など構造部材、非構造部材、設備機器などの耐震対策、津波対策、液状化対策などを説明した。