BTSはなぜ儲かる▼変わる物流不動産 
2013年01月22日 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
この数年、物流施設の需要で変化が起きている。複数の顧客が利用するマルチテナント型施設に加え、最近では顧客の要望に合わせ専用施設を提供するビルド・トゥ・スーツ(BTS)型も増加。3PL(サードパーティー・ロジスティクス)や通販事業者などを中心に人気が高まっている。
物流施設の開発は、現在もマルチテナント型が主流。欧米に比べ土地の少ない日本では一度に大規模な施設をつくる方が、多くの顧客にスペースを提供できるからだ。
そうした中、この数年で勢いを伸ばしているのがB型の施設。大手物流不動産のプロロジスは開発、運営中の54棟のうち11棟が顧客専用の施設。ことしも関東、関西で4棟をしゅん工する。
「自社の業務に合わせた専用施設を長期間使えるのは魅力」とBTS型施設を使う大手物流事業者。BTSは設計段階から顧客の要望を取り入れる。契約期間もマルチ型が一般的に5年と言われるのに対し、BTSは「最短でも倍以上」(山田御酒プロロジス社長)。
物流施設の供給側にとっても、賃料が見込めないランプウェイなどをつくる必要がなく、長期間顧客と契約できるメリットは大きい。「一定規模以上の施設はBTSにするのが理想」(同)。
内装改修費は相手先が負担
一方、気になるのが顧客との契約が切れた後の施設。入居企業が替わってもそのまま使えるマルチ型と違い、BTSは顧客の要望に合わせて設計する。顧客が撤退した後のBTS型施設をどう利用するのか疑問も残る。
だが「BTSでも提供するのは標準仕様の施設。内部のレイアウトなどを変更する際、改装費の多くは入居企業にも出してもらう」と山田社長。物流不動産は顧客の要望は聞くが、天井の高さなど基本的な構造はマルチ型と変わらない。内装費などで顧客が多額の投資をすることもあり、自然と長期契約に結びつくというわけだ。
もちろん「BTSは顧客との信頼関係を構築しないと難しい」と山田社長。今後も物流不動産市場の活況が続けば、BTSを提供する企業が増える可能性もありそうだ。(小林 孝博)