変わる物効法▼中小も使いやすく 
2013年01月22日 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
2年前の東日本大震災で問題となった物流施設の災害対策。被災地では荷崩れが発生し、非常用通信や発電設備のない物流施設は入出庫が停滞した。その反省を踏まえ、国土交通省は災害に強い物流施設を構築するための法整備を急いでいる。
国交省が改正を進めるとみられるのが物流総合効率化法。同法は輸送や保管、流通加工を総合的に行える施設をつくったり、拠点集約などを進めることで、効率的で環境負荷の少ない物流を実現するのが狙いだ。
物効法の認定を受けると税制特例、市街化調整区域の開発許可などのメリットがある。平成24年3月時点で168の施設が認定。だが、事業者からは「中小で物効法認定を受けるのは難しい」など使いにくさを指摘する声も上がっていた。
複数事業者の共同事業視野
国交省は法改正で中小事業者も使いやすい内容に変える構え。現行制度では1社で1500平方メートル以上の高機能な施設をつくることが条件だが、今後は複数の事業者による共同事業も視野に入れる。「具体的な内容は検討中」(国交省)。
衆院選挙が思わぬ枷に
物流効率化だけでなく、災害に強い施設への誘導も進める。東日本大震災の反省を踏まえ、新たな物効法では(1)荷崩れ防止対策(2)バックアップデータの保管(3)非常用通信・電源設備の設置――を認定要件に追加。「すでに認めたものは別だが、新規認定は防災対策も条件にしたい」(同)。
改正案は通常国会にも提出されるとみられるが、確定には至っていない。24年度で切れる倉庫税制の延長が見えていないからだ。
国交省は倉庫税制の延長とセットで物効法の改正案を提出する考え。だが、25年度予算と税制の議論は昨年末に衆議院選挙があったことで作業が停滞。新政権の考え方次第では見送られる可能性も否定できない。
国交省は「財政が厳しい中で特定業界への利点が大きい倉庫税制は厳しいとの見方もある。現状ではまだ何とも言えない」とし、改正法案の提出に慎重な見方を示している。(小林 孝博)