改正派遣法▼人材確保に悲鳴 苦肉で「日々紹介」活用 
2013年02月19日 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
昨秋の改正労働者派遣法施行以降初の引っ越し繁忙期を、間もなく迎える。これまで貴重な戦力だった日雇い派遣の活用が原則禁止となり、人材の確保面での困難に事業者からは悲鳴が上がっている。
「派遣労働者を自由に使えなくなった影響は大きい」。引っ越しを手掛ける都内の事業者はこう漏らし、繁忙期の間、例年通り業務をこなせるか不安を口にした。
改正派遣法では30日以内で雇用する日雇い派遣を原則禁止。学生や60歳以上の高齢者などのほか、専門性の高い業務は例外的に日雇い派遣を認めるが、物流業界が求めていた「引っ越し」は組み込まれなかった。
短期間での対応厳しく
引っ越し専業者などは以前から、自社社員の確保やアルバイトの活用といった対策を講じているが、こうした動きは一部。引っ越しのシェアが小さい事業者では「短期間で抜本的な対策が打てない」(東京・中堅)のが現状で、繁忙期の人員確保に苦戦している。
複数の事業者では「日々紹介」の活用を検討しているという。派遣先が派遣元から紹介された労働者と直接契約すれば、1日や1週間単位での短期契約も可能だ。
ただ、日々紹介は派遣会社からの継続的な仲介料発生や身元不明者の雇用などのリスクもあるとされる。それでも「波動分は日雇いに頼らざるを得ない」「引っ越しだけでアルバイトを雇えない」のが現場の声。
国が日雇い派遣の例外業務に引っ越しを組み入れなかったことで、現場の混乱が現実味を帯びてきた。(小林 孝博)