利用率伸びない物効法▼「優遇より設備投資費用かさむ」 
2013年05月16日 【物流ウィークリーhttp://www.weekly-net.co.jp/】
05年10月に施行された物流総合効率化法(物効法)。輸送網の集約、輸配送の共同化、モーダルシフトなどを行うことで物流コストを削減し、環境負荷低減に取り組む事業を認定、物流の総合効率化を図るというもの。物流拠点の施設に対し、税の優遇、市街化調整区域での開発申請が可能となるなど、事業者のメリットは大きいにもかかわらず、施行以来、利用率は平行線のままだ。国交省は周知活動を進めると同時に税の優遇措置の対象を広げ、事業者の利用を促したい考えだが、「税の特例措置を受けるよりも設備投資に費用がかさむ」など、事業者には使い勝手の悪さが目立つようだ。
物効法の認定を受けるための特定流通業務施設の基準は、高速道ICや鉄道の貨物駅、港湾、空港などの周辺5キロ以内の立地で、自動仕分け装置や自動搬送装置など高度なマテハンを導入している施設。規模は普通倉庫の場合、平屋1500平方メートル、多階3000平方メートル以上、冷蔵倉庫は3000立方メートル以上、貯蔵槽倉庫は5000立方メートル以上である必要がある。認定を受けると所得税、法人税の割増償却として、営業倉庫建物は5年間で10%軽減。固定資産税、都市計画税の課税基準の特例措置で、営業倉庫建物は5年間で2分の1、付属設備は4分の3が軽減される。
リーマン・ショックで世界的金融危機が起きた08年の新増設倉庫は192件、認定33件(認定率約17%)。翌09年は同131件、同18件(同13%)。05年の施行から12年度までの認定率は10~20%で推移しており、「景気低迷が認定事業者数の直接の要因ではない」と国交省は説明。認定数の増加を目指し、今月1日に発令された改正物効法では、税制上の設備要件として、これまでの垂直型連続運搬装置、電動式密集棚装置、自動化保管装置に加えてデジタルピッキングシステムを追加するなどオプション数を増やし、税の優遇を受けられる事業者の幅を広げようと取り組む。
さらに地方運輸局の申請窓口での対応の充実、パンフレットの作成など理解を高めて利用者を増やしたいとしている。しかし、同制度が適用されるのは新増設部分のみであるため、東京都内の倉庫事業者は「経済状況が不安定で、収入増が見込めない中、新しく倉庫を建てる余力がない」と話す。