国土交通省・経済産業省▼新総合物流施策大綱を公表 
2009年07月16日 【LNEWS(http://www.lnews.jp)】国土交通省、経済産業省は7月13日、「総合物流施策大綱(2009-2013)」を取りまとめ発表した。
同大綱は「グローバル・サプライチェーンを支える効率的物流の実現」、「環境負荷の少ない物流の実現等」、「安全・確実な物流の実現等」の3つを基本的方向性の柱として策定したもの。
特に、日中韓物流大臣会合などアジア諸国との各種の政府間対話や「東アジア産業大動脈構想」などにより、アジアでの広域的な物流環境の改善、日本の通関制度等の必要な見直しを継続的に行うことなど、企業サプライチェーンのグローバル化が進む中で日本の産業競争力の強化に必要な物流施策を総合的に盛り込んだ。
また、2013年以降の次期枠組みを見据えた地球温暖化対策の動向も視野に入れ、各関係者の連携・協働やカーボン・フットプリント制度の推進など環境負荷の少ない物流の実現も盛り込んでいる。この大綱より、今後推進すべき具体的な物流施策をプログラムとして取りまとめ、PDCA方式で毎年度実施状況のフォローアップを行い、必要に応じ改訂を行う。
今回の策定は、アジア諸国などに分散する事業拠点間の輸送コスト低減など「企業のサプライチェーンのグローバル化」、「京都議定書の第一約束期間の開始/ポスト京都議定書の動向を踏まえた環境対策の必要性」、トラックの重大事故防止、海上輸送路の安全確保などの「安全・確実な物流の確保に対する要請」などを背景としている。
3つの柱のうち、グローバル・サプライチェーンを支える効率的物流の実現では、具体的な施策として効率的でシームレスな物流手続き、セキュリティ確保と物流効率化の両立、貿易管理・物流管理のIT化と国際的情報連携の構築などを目指す。
このためスーパー中枢港湾プロジェクトの充実・深化、大型船舶に適切に対応するための産業港湾インフラの刷新、港湾関連手続の電子申請化、航空自由化の推進による航空貨物ネットワークの拡充、大都市圏拠点空港の物流機能強化など、ハード・ソフト両面からの取組を行う。
さらに、NACCSと民間の物流関連システムを連携した中核的システムの構築、物流事業者や荷主などの間で貨物の位置情報を共有するための貨物管理コード27の国際標準化なども推進する。
環境負荷の少ない物流の実現等では、輸送モードごとの総合的な対策、地方公共団体、荷主、物流事業者などの多様な関係者の連携による取組、効率的な静脈物流の構築などを実施する。
具体的な取組では、幹線物流全般にわたる物流結節点の集約・再配置、ミルクランなど物流結節点と末端との間の集配の効率化の推進、複数荷主による共同輸配送や往路と復路を組み合わせた輸送効率の向上を目指す。
安全・確実な物流の実現等では、利用運送事業者と実運送事業者との連携強化、大型トラックの車両安全対策・運行管理の徹底、航行安全の推進や海賊行為への適切な対応などを推進する。
トラック輸送の安全対策については、ASV技術などを活用した大型トラックの車両安全対策、トラック運送事業者の運行管理の徹底や監査の充実、運輸安全マネジメントなどを推進する。
大綱の推進主体は関係省庁の関係局長などで組織する「総合物流施策推進会議」となる。