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日通総研調査▼物流子会社の再編・事業譲渡を19%が検討 

2009年08月03日

 【LNEWS(http://www.lnews.jp)】日通総合研究所は7月24日に発表したロジスティクスレポートNo.13の中で、荷主企業などに実施したアンケート調査の結果を公表した。
 調査によると今回の景気後退を機に、物流を重要な経営課題と認識している荷主企業が増加している半面、物流合理化の一環としての物流アウトソーシングや、物流関連投資の物流改善・合理化投資は増減が拮抗しているという
 今回実施した緊急アンケートは、6月中旬に荷主企業2500事業所を対象に行い、1089事業所から回答を得た。回答率は43.6%。まず景気後退を機に、経営に占める物流の位置づけの重要性が高まったとする荷主事業所が36%あり、物流を重要な経営課題と認識している荷主企業がさらに増加している(「変わりない」回答は61%)。
 反面、物流の合理化の一環としての物流アウトソーシングは回答が拮抗し、「拡大した」、「縮小した」がともに12%。合理化を目的としたアウトソーシングの取組は停滞している印象を受ける。
 物流関連の投資も、物流改善・合理化に対する投資は「増えた」、「減った」がともに13%と均衡しているが、環境対策・省エネに対する投資は「減った」の6%に対し「増えた」が20%、安全・教育に対する投資は「減った」の4%に対し、「増えた」は18%と増加した荷主事業所が多い。景気後退局面でも、環境対策や安全対策が物流の最優先課題である姿勢がうかがえる。
 物流子会社の再編や事業譲渡などは、既に実施している荷主事業所14%に対し、検討中とする荷主事業所が19%あり、今後も物流子会社の再編の動きは強まる見通し。物流合理化も、物流子会社の再編を通して達成しようとする荷主企業が意外に多いと見られる。
 一方、鉄道・内航海運へのモーダルシフトの取組は、「強まった」が14%あり、以前から取組んでいた荷主事業所の回答が「変わりない」(83%)に含まれることを考慮しても、景気後退下にあっても環境対策への取組を優先視する姿勢がうかがえる。
 高速道路の利用は「変わりない」とする荷主事業所が95%と圧倒的に多く、「減った」の3%が「増えた」の2%を僅かながら上回ったことも、コスト負担増を嫌う以外に、環境への配慮の姿勢が反映されているものとも考えられる。高速道路料金の引き下げは、荷主企業の貨物運送に限っては、高速道路の利用増に対しほとんど寄与していないという。
 輸出入の際に、利用輸送機関を航空から海運へシフトする動きに関しては、「強まった」が16%なのに対し、「弱まった」1%で、航空から海運へのシフトは確実に進展している。背景には、運賃コストの削減の必要が強まったこと、RORO船の就航や定曜日配船等により海運の利便性が高まったこと、環境意識の高まりなどが背景と見られる。
 国内出荷量が本格回復する時期の見通しを尋ねたところ、「2010年度以降」がもっとも多く74%、次いで「2009年度後半」23%、「2009 年度半ば」が3%。生産面で明るい兆候も現れつつあるが、在庫調整が一巡した側面が大きく、国内外での需要の盛り上がりが当面期待できないことから、生産の本格回復にはまだ時間がかかると見られる。