日本物流不動産評価機構▼「物流不動産と環境」セミナーに250人 
2010年09月05日
日本物流不動産評価機構推進協議会(JA-LPA、望月光政委員長)は9月3日、日通本社で「物流不動産と環境」と題し、セミナーを開催。定員を上回る250人が参加した。
挨拶で望月委員長は、「今回は、環境という今、一番重要な内容をテーマに置いた。基調講演は、国土交通省と経済産業省のお二方をお招きし、すばらしいセミナー内容にすることができた」と語った。
●モーダルシフトと物効法
基調講演1は、国土交通省の尾関良夫政策統括官付参事官が「新成長政略における物流施策」として講演。6月18日に閣議決定された「新成長戦略」の中にある7つの戦略と21の国家戦略プロジェクトを元に動いているという。その中には、“モーダルシフトの推進”という言葉も。
また、物流不動産の環境面では、物流総合効率化法を紹介。5月末現在で、141件の認定があり、そのうち、開発許可は39件となっているという。
そのほか、物流連携効率化推進事業や共同配送、グリーン物流パートナーシップの取り組みなどを紹介していった。
物流不動産の補助事業にも言及。営業倉庫やトラックターミナル等に対するNEDO補助事業などを紹介していった。
●省エネ法の改正ポイント
基調講演2は、経済産業省の高見牧人資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー対策課長。環境と言われている背景を、地球全体のエネルギー消費量・CO2排出量のグラフから紹介。その中で、「日本のエネルギー効率は、世界の各国と比較しても非常に進んでいる」とした。
それでも、エネルギー消費は増加傾向であり、今、話題となっている改正省エネ法の概要を説明していった。
今回の改正ポイントは、「工場・事業場ごとのエネルギー管理から、事業者全体のエネルギー管理となったこと」とした。
年間のエネルギー使用量が1500キロリットルを超える場合に届出が必要になる。また、エネルギー管理統括者、エネルギー管理企画推進者などを選任する必要も出てくる。
また、今年度の補助金事業も紹介。今年度分の申請はほとんど終了しているが、「大半は来年度も行う予定なので、気になるものがあれば、申請を」とした。
●CASBEEとエコ技術の事例
イーソーコ総合研究所の河田榮司社長は「エコ倉庫の事例と応用」と題し講演。環境に対応した“エコ倉庫”が開発されている現状と、その背景、実際に利用されている技術を紹介した。
エコ倉庫の事例としては、プロロジスやAMBなどのファンドが建設した大型物流施設を紹介。また、CASBEEなどの認定取得状況では、三菱倉庫や住友倉庫などの倉庫企業も取得しているという。
エコ倉庫が求められる背景には、「荷主がCASBEEのランクを取った施設しか使わないと言ってきている。また、法改正などから見ても、環境への対応は必然となっていくだろう」とした。
実際のエコ技術の紹介では、雨水浸透貯留層(クロスウェーブによる調整池利用)や、LED灯、遮熱塗料による温度変化などを紹介。また、太陽光発電や、コージェネレーション、スマートグリッド、風力発電などの事例も、画面で紹介していった。
河田社長は、「今後も、環境へのニーズは高くなっていく。今回紹介した技術を、倉庫に応用されてくるだろう」とした。
●太陽光発電とLED照明
最後の講演は、関電工の牧野俊亮技術・事業開発本部エコソリューション部長。
省エネの視点について、「まずは、運用改善によってエネルギー使用量を減らすこと。それができてから、新システムの導入や、既存設備の更新による効率化を図ることが大事」とした。
また、LEDなどでは、「粗悪品が出ていることもあり、注意しないと、効率化されないこともある。また、光の強さもまちまちで、単純な比較ができないこともある」という。取り付ける場所などによって、照明器具の種類を選ぶ必要がある。
また、太陽光発電では、パネルの技術改良が進んでいる。しかし、次世代型の薄幕シリコンの場合は、まだまだ設置費用が既存のものよりも高くなるなどの問題も抱えているという。
最後に、JA-LPAから10月から11月に開催される中国物流不動産視察団が紹介された。
西安や洛陽など国内の物流不動産の視察や、現地行政との情報交換会などが予定されている。日時は10月31日から11月5日まで。詳しくは、http://www.ja-lpa.net/12.html