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新卒採用▼学生との接点が減少 

2013年04月18日

 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
 平成25年4月入社の新卒採用から適用された、日本経団連の「就職倫理憲章」改定。新卒の採用活動開始が2カ月後ろにずれ込んだ。本紙が物流各社に行ったアンケートでは、「学生との接点が減少し、採用活動に変化があったと」の声が約半数。今後の影響を危惧する声もあった。改定内容は、26年新卒採用でも踏襲。将来的には、政府の方針でさらに遅れる可能性もある。各社は、対策を求められている。
 新年度、物流各社は新戦力と共に新しいスタートを切った。企業が発展を続けるには優秀な人材確保が欠かせない。
広報期間が2カ月短縮
 日本経団連は、学生の学業に専念する時間を増やすため採用の早期化自粛を求め「倫理憲章」を改定。企業の就職情報サイト開設や説明会開催など広報活動開始日が10月1日から12月1日になった。
 25年新卒採用はその適用初年。多くの物流企業ではまだ「特に影響はなかった」。背景には、「採用活動開始は3~4月ころ」(大和物流)など、そもそも採用活動開始が遅い企業も多い事情がある。
いまのところは影響が無いとしつつ、倫理憲章を「守らない企業に人材を奪われる危惧はある」(日立物流)との声も。
 実際、4月1日以降の開始とされる面接など選考活動を、「3月中に面接練習などと称し行っている上場企業もあると聞く。4月開始を守る企業にマイナス感があることは否めない」(関東・倉庫)。
学生の業界・企業研究が不足
 一方で、適用初年度から何らかの「影響があった」とする物流企業も少なくない。その多くから出たのは、広報期間短期化により「業界・企業の研究が不十分な学生が増えた」の声。そのため、「志望動機の高まりがやや弱く、採用時にひと手間余計に掛かった」(ヒューテックノオリン)や「優秀な学生の質を見誤る懸念がある」(丸全昭和運輸)などが課題に。
 また、採用期間短期化で他産業を含めた各企業の活動が集中し、選考開始までに学生と接する機会が減少したこと自体を問題視する企業も多い。「企業・業界に対する注目を集めづらくなっている」(鈴与)。
各社PR活動積極化で対応
 各社は「選考期間を長めに設定し、優秀な学生を見極める」(丸全昭和)、「採用セミナー開催回数、就職イベント参加回数を増やす」(山九)など、学生に触れる機会を増やし、企業・業界への関心を高める工夫をしている。「採用ホームページを一新」(日本貨物鉄道)、「フェイスブックによる情報発信」(鴻池運輸)など学生の理解を促すためのPRを積極化する動きも。
 採用活動の集中で、大手企業にエントリーが集中する傾向も。例年に増して、「〝運送〟には厳しい面があった」(ロジネットジャパン)。「応募者数の減少に影響したと感じる」(カリツー)。また、選考に進んでも「選考途中での辞退が増えた」(名鉄運輸)との声も複数ある。
今後さらに遅れる可能性も
 政府は、採用活動を卒業学年の4月に、さらに遅らせる検討。他産業も含め、採用活動期間がさらに集中すれば、物流業界の新卒採用をめぐる環境が厳しくなることも予想される。倫理憲章改定による採用活動早期化の影響は、各社とも「今後、検証しなければならない課題」(日本トランスシティ)といえる。(松井 悠)