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物流拠点いま注目のエリア▼湾岸・圏央道の人気不動 

2013年05月16日

 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
 物流拠点の立地には製造業の景況や産業・人口構造の変化、交通インフラ整備、防災、など多くの要因が影響する。首都圏では「やはり湾岸エリア、圏央道・外環道周辺は人気が高い」と日本能率協会総合研究所(JMAR)の清水真人交通研究部主任研究員。最近の立地動向と背景、注目エリアを聞いた。
   
 首都圏の物流拠点は、多くが湾岸エリアと主要道路沿線に立地する。東日本大震災後、物流拠点立地には津波・液状化現象などを回避する〝湾岸離れ〟や拠点分散などの動きが進むといった指摘もあったが、「実際にそうなった印象はない」(清水研究員)。背景には、各社が災害リスク対策を、拠点戦略の転換ではなく、サプライ・チェーン(供給網)の見直し、BCP(事業継続計画)の整備など災害の影響を少なくとどめる対応によって進めたことがあるという。
 「生産拠点、物流拠点の立地は道路整備・伸長に深く関連する」(清水研究員)。1970~90年代の高速道路整備状況、物流拠点進出状況を年代別に見ると、道路整備に伴って拠点が郊外に広がっていった動きがある。「高速道路が整備されれば、空間的な距離が企業経営にとって不利な要因にならなくなる」(同)。
群馬で拠点新設が活発
 北関東自動車道の整備により、群馬県に拠点を置く工場・物流事業者も増加。JMARが都心からの距離と地価の相関を調べたところ、群馬県は他の都県に比べ距離と地価の条件が良かった。経済産業省・関東経済産業局の平成24年「工場立地動向調査」でも、群馬県は立地件数で全国3位に上り、拠点進出は活発。「今後も注目される」(同)。
人口集中地域への需要高く
 半面、市場近接地での拠点需要も高い。「小売店などに納入する貨物を扱う場合、輸送効率の点から人口集中エリアに近い場所が有利。圏央道沿いなら神奈川県寄り、事業者によっては圏央道では遠い、できれば外環道――といった希望も」(同)。また近年、以前から使用していた拠点の周辺が市街地化し、周辺住民への配慮などから居づらくなって郊外へ移転するケースもあるという。「圏央道エリアはこれらの受け皿としてのさらなるニーズも見込まれる」(同)。
 拠点立地に影響するのは交通インフラだけではない。拠点集中が進む中、関東の施設が東北向けの配送を兼ねる場合、立地を都心部や神奈川県から千葉県北部、埼玉県などへ移転する例もあるという。「都心の交通混雑区間を通過する必要がある場所からでは1日での配送が難しい。ドライバーの労務管理・勤務時間短縮や残業代などのコスト削減の観点から、今後この動きが進む可能性もある」(同)。(村山 みのり)