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九州で物流C開設進む▼各社、拠点集約で活路 

2013年08月19日

 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
 近年、九州で物流センター開設の動きが活発化。拠点の統合・集約による経営のスリム化と、物流サービス向上を主眼とする事業者が少なくない。そこには小口混載対応、リードタイム短縮などに磨きをかけ、中長期で顧客を取り込もうとする各社の戦略が見て取れる。
 ことし2月、九州の一大物流拠点である佐賀県の流通団地「グリーン・ロジスティクスパーク鳥栖」(面積約68万平方㍍)に延べ床面積2万平方㍍超の倉庫開設(トラスコ中山)が決まり、全38区画が完売した。
 鳥栖流通団地では昨年だけで6つの事業者が物流センターを相次ぎ開設。博多港アイランドシティではことし7月、イヌイ倉庫や開発業者が延べ床面積5万平方㍍のマルチテナント型物流センター建設に着工した。
「庫腹の不足感ない」の声
 ただ、九州地区の荷動きは「相変わらず鈍い」(福岡の事業者)。景気回復がささやかれる中、複数の事業者がことし4~6月の売上高で「(前年同期比で)微増にとどまる」と回答。倉庫需要も伸び悩み、「庫腹の不足感はない」(福岡の事業者)の声が。
 来年4月の消費増税を控え、いまのうちに商品をストックしておきたい荷主のニーズも「少ない」(熊本の事業者)状況にあるようだ。
 ではなぜ、近年物流センターの開設が増えているのか。内需縮小、物量減の傾向を見据え、「顧客の囲い込みが狙い」(福岡の別の事業者)とする事業者は少なくない。
 昨年7月、鳥栖団地内に九州と全国を結ぶ基幹センターを新設した福岡運輸は、「縮小傾向にある食品物流市場でのシェアアップが狙い」とする。
物量減見据えシェアアップ
 福岡運輸は、荷主のオーダーに応じて柔軟な出荷が可能な管理・輸送体制を整備して既存顧客の深耕、新規開拓に役立てるとともに、庫内作業の合理化、小口混載で積載率を向上させるなど、利益体質を強化する。
 日立物流も鳥栖団地内に昨年8月、医薬品向け物流センターを稼働。最新鋭の設備を整え、扱いが難しい医薬品を九州各地へくまなく輸配送するコアセンターとして機能させ、新規荷主も獲得。九州地区の特積みで存在感を示す久留米運送も、老朽化し手狭になった九州各所の営業所の統合、移転拡張を進め、事業拡大を図る。
通販の拡大見据えた動きも
 久留米運送はまた、昨年5月、通販大手アマゾンが大型物流センターを鳥栖地区に開設したことを受け「当日配送などサービスの高さは無視できない」と注目。本州―九州間と九州全域への輸配送網強化に動き、北九州で基幹拠点、西九州で拠点の開発準備を進める。
 一部の中小事業者にも倉庫新設の動きが。来年5月、福岡県古賀市の県道35号沿いに完成する大規模流通団地への倉庫設営で、福岡県運輸事業協同組合が組合員の資金計画を後押し。組合員7社を含め10数社の企業進出が見込まれている。九州運輸局は「事業者の倉庫新設の動きは、拠点集約による業務効率化の意図が間違いなくある」としている。(丸山 隆彦)