物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
最新ニュース・情報を発信しています。

  • メール会員情報変更
  • メールマガジンバックナンバー
  • ニュースメール配信登録

消費増税で伸び悩み▼日通総合研究所 経済研究部担当部長就任研究員 佐藤 信洋氏 

2014年01月17日

輸送経済新聞社

 国内貨物総輸送量は今年度減少の見通しだ。ことし1~3月は消費増税前の駆け込みで大きく動く一方、4~6月以降、その反動と増税による消費の冷え込みから物量が減る。日通総研では、前年度比1.9%減を予測しており、さらに下振れる恐れもある。
 円安で燃料はじめ輸入品の価格が上昇。じわじわ物価が上がっているのに、賃上げが追い付いていない。そうした中での消費税率アップ。物価がさらに上昇し実質所得が減る。個人消費や住宅投資が減少する結果、消費関連貨物は前年度比1.5%減。建設関連貨物は4.3%減の見通しだ。
 その点、春闘が注目される。個人消費の冷え込みを賃金でどれだけカバーできるか。物流にも影響を与えるだろう。
 品類別でみると、生産関連の荷動きはトータルでプラス。自動車需要の落ち込みなど鉄鋼や化学はマイナスになるが、設備投資が堅調で機械機器がプラス。紙・パルプは輸入品が高くなり、国内生産が増加傾向にある。ことしの秋口くらいまではこのペースが続くのではないか。

輸出は「プラス」予想

 国際貨物輸送量は輸出が小幅だが増えるとみられる。世界経済の持ち直しを背景に、円安が追い風になる。国際航空、外貿コンテナとも輸出はプラス。昨年秋からようやく動いてきた。一巡するまでは続くだろう。

運賃の改善基調続く

 トラック運賃の改善基調は続くだろう。おととしから燃料価格が1割ほど上昇し、コストの2割が燃料費といわれるトラック会社では運行費が2%上がった計算。ことしも油は高止まりが予想され、経営を圧迫する。
 これまで企業はドライバーの賃下げで対応していたが、それも限界に達している。建設など他の産業に人材が流れ、ドライバーが確保できなくなる。賃金の原資となる適正運賃を得るしかない。

(経歴)
 佐藤 信洋氏(さとう・のぶひろ) 49歳。平成元年早大大学院経済学研究科修士課程修了、経済学修士(応用経済学)取得。同年日通総合研究所入社。以来、経済・物流動向の予測、物流政策の調査・研究などに従事。青学大経済学部や法政大大学院政策科学研究科などで教職も歴任。