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外形標準課税、中小に拡大へ▼政府税調提言 物流業界に打撃 必至か 

2014年08月04日

輸送経済新聞社
 政府税制調査会(首相の諮問機関)は6月27日、法人税率引き下げに伴う代替財源の確保策として、赤字企業や中小企業を対象にした「外形標準課税」導入などの提言をまとめた。中小企業が大半を占めるトラック業界。人手不足、燃料高騰など取り巻く環境が厳しい上に税負担が増えれば、与える打撃は少なくなさそうだ。

 政府は、国際競争力強化の観点から法人実効税率を来年度からの数年間で、現行の約35%から他の先進国並みの20%台後半への引き下げを目指している。引き下げに伴って不足する財源は約3兆円(1%当たり約5000億円)の見込み。

大手の法人税減税とセット

 政府税調は代替財源の確保策として、(1)租税特別措置(政策減税)(2)減価償却費(3)中小法人課税(4)公益法人課税(5)外形標準課税――など8項目の見直しを提言。法人税率引き下げと合わせて取り組むよう求めている。
 この中で、研究開発費用などを免税する租税特別措置(政策減税)の縮小・廃止や、資本金1億円超の企業が対象だった外形標準課税の適用を中小企業へ広げる方針を示した。
 総務省統計局によると、資本金1憶円以下の法人は全体の99%を占める。また、東京商工リサーチによると運輸業(旅客含む)の赤字法人数は平成24年度、5万5289社と約7割に上る。
 外形標準課税は事業者の資本金や規模に応じて課税されるため、赤字企業も納税が必要になる。政府は企業間の税負担の公平性などの理由から、資本金1億円以下の中小企業にも導入し「薄く広く」負担を求めることで理解を得たい考えだが、中小企業からの反発は必至だ。

「物流業者は淘汰される」

 負担増が確実視されるトラック業界からは反対の声が上がり始めた。
 「(外形標準課税の)拡大は反対。大企業の法人税減税のため、中小企業や赤字企業が補てんするのはおかしい」(関西のあるトラック協会の総会)など危機感を募らせる。
 地場輸送を営むトップは「物流事業者は淘汰(とうた)されるだろう。中には役員報酬や経費の水増しで赤字を計上している事業者もあるが、大半は運転資金のやり繰りで精いっぱい」と懸念の声を上げる。
 一方、燃料価格の上昇やドライバー不足に直面する中、導入反対の声は広がりを欠く。「事業者間で(外形標準課税拡大の)話は聞いていない」(関西の別のト協幹部)や「燃料高の方を心配している事業者が多い」(四国のト協関係者)といった状況だ。
 全日本トラック協会(星野良三会長)は17日の常任理事会で、来年度税制改正・予算に関する要望で外形標準課税導入反対の文言を盛り込む。「非常に危惧している。全国中小企業団体中央会と協調して働き掛ける」(全ト協)と即座に反応を示した。
 東京商工リサーチは「(トラックは)中小事業者が多くかつ赤字企業も多い。導入されれば影響は必至だろう」としている。(遠藤 仁志)