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ドコモ 、富士運輸、トラボックス、イーソーコほか▼空車回送削減に向け、物流プラットフォーム構築合意 

2017年09月23日

NTTドコモ 関西支社、ドコマップジャパン、富士運輸、トラボックス、イーソーコの5社は20日、AI技術を活用したトラック輸送の空車回送削減に向けた協業について合意に達した。

輸送トラックの空車情報をリアルタイムに把握できる物流プラットフォーム「docomap JAPAN(ドコマップジャパン)」を、11月Ⅰ日よりサービスを開始する。

ドコモでは2020年に開始される次世代携帯サービス5Gの導入に向け、2017年度より新たな中期戦略「beyond」宣言を掲げてきた。2020年を節目に、ユーザー、パートナー双方に向けた価値提供、産業への貢献、商流拡大を狙い、ターゲットにしたのが物流分野だった。

「物流機能の維持は社会的課題。特に空車回送では大きなロスをしている状態にある」とNTTドコモ 紀伊肇常務執行役員(関西支社長)は、20日に開かれた記者発表で背景を語る。

                             GPS端末を手に説明するNTTドコモ・紀伊肇常務

国交省交通関連統計資料集によると、中長距離トラックが荷物を届けた後、空車のまま帰社する割合は約3割、年を追うごとに割合が高まっているという。

「空車回送を削減することで(1)配送効率を高める、(2)運送会社の収益改善、(3)ドライバーの労働環境の改善につながる。しかし、単独事業者の課題解決は困難な状態だ」と紀伊氏は指摘する。政府が掲げる総合物流施策大綱では、サプライチェーン全体における連携・協働を奨励、多様なパートナーによる変革を促す。

そこでNTTドコモがパートナーとして選んだのが奈良最大級の運送会社・富士運輸だ。両社は2016年12月より、ワークショップを立ち上げ、今回のプラットフォー立ち上げに向け、ディスカッションを重ねてきた。

富士運輸は独自の車両検索データベースを構築、1000台を超えるトラック全車両を見える化や、自社トラックの中古車販売戦略などが奏功し、毎年10億円以上の売上を伸ばす。

車両情報に関するパートナーにはトラボックスが選ばれた。同社サイトでは運送会社と荷主とのマッチングサービスを展開。運送会社の登録数は1万3000社を超えた。

富士運輸の松岡弘晃社長は「運送会社は倉庫会社と密接につながり、荷積み、荷下ろしは倉庫がキーとなる。ドライバーの待機時間が取り沙汰されているが、入出荷時間の調整には倉庫側とも連携をとる必要がある」として、物流不動産ビジネスを展開するイーソーコもパートナーに選定された。

イーソーコグループは国内最大級となる倉庫物件情報の「イーソーコ.com」を運営。トラボックスの「倉庫情報サービス」で連携をとりながら、新プラットフォームでは中継輸送の核となる倉庫情報で支援する計画だ。

 

●プラットフォーム「docomap JAPAN」
配送に関わるプレイヤー(荷主、運送会社、倉庫管理会社等)が必要とする情報を1つの地図上に表示、運送会社同士のマッチング実現が新プラットフォームム「docomap JAPAN」の狙い。

ドコモが提供する「かんたん位置情報サービス」を基盤に、全国の運送会社向けに11月1日に発売。販売元は事業推進に向けて設立されたドコマップジャパン。
サービスを利用するには、DoCoMAP使用料として月額1480円(税抜)。マッチング手数料、初期費用は無料

コンパクトなGPS端末をトラックに装着、オンライン地図はGoogle Mapをベースに、PC、タブレット、スマホからアクセスでき、サイズごとに色分けされたトラックアイコンをクリックすると、配送状況や連絡先がポップアップで表示。NEXCOが提供するリアルタイム交通情報とも連携させ、渋滞もひと目で把握できる。

将来的には、同サービスのデータベースを活用したAI技術とも併用させたマッチングの自動化・予測などの展開も視野に入れており、2020年の実現を目指す。
 

右から、NTTドコモ・関根聡部長、同・紀伊肇常務、富士運輸・松岡弘晃社長、ドコマップジャパン・高林治幸社長、トラボックス・吉岡泰一郎社長、イーソーコ・大谷巌一会長