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日本生産技能労務協会▼法改正後の物流行政指導事例発表 

2018年10月20日

日本生産技能労務協会 物流部会は12日、CIVI研修センター日本橋で、物流人材サービス特別セミナー「物流人材サービスにおける働き方改革への対応」を開催、約180人が来場した。

道上良司物流部会長は冒頭、「今年は春先より災害が多発し、交通の寸断、建物崩壊など甚大な被害に見舞われた。物流業界が社会インフラとして非常に重要な位置を占めたことを改めて実感した。本日のセミナーは、物流業界における人材サービスを法改正に伴う動きをご紹介したい」とあいさつ。

第一部では東京労働局需給調整事業部の近藤麻生子部長が「労働力需給調整事業の現状と課題」と題した講演を行った。東京労働局管内で都内を派遣先とする派遣労働者は44・2万人。平成27年度の法改正もあり、29年度には相談・苦情件数は増加、派遣・請負の区分(二重派遣・偽装請負)、派遣元先の苦情処理、就労条件の明示、労働条件の相違、解雇・雇止めの順だった。

近藤氏は物流業界で発生した「偽装請負」の行政指導事例を紹介した。発注者からの受託業務を実施した業務請負者は、業務責任者を常駐させず、派遣労働者1人だけで就労させた。使用者責任が不明瞭となるため、「偽装請負」とみなされ、労働者派遣法に違反した。

日雇い派遣の指導例では、倉庫内作業を行う日雇い派遣に関し、年齢確認や生業収入など「例外要件」確認について、本人の自己申告のみで済ませた場合も指導対象になるという。

第二部は弁護士の安西愈氏が登壇、「働き方改革関連法と平成30年6月の最高裁判決が物流人材サービスの人事労務管理に与える影響とその実務対応」を講演した。

安西氏は2017年3月に施行された「働き方改革」実行計画のポイントを紹介。物流業界と縁が深い、外国人労働者受け入れについては、「留学生は週28時間まで職種を問わず就労可能だが、今後は20業種まで拡大する計画もある。物流業界の雇用対策のキーとなる」との見解を示す。また、人事管理や労務管理に最も重要なことは、証拠としてメモを残すことだと話した。

続いて、ハマキョウレックス事件・長澤運輸事件の判決のポイントを紹介。有期・無期の雇用契約者間で期間の定めによる労働条件に相違がある場合、(1)労働者の業務内容、(2)業務に伴う責任の程度、(3)業務内容及び配置変更の範囲などの事情を考慮して、同一処遇を求めるものではなく、職務内容等に応じた処遇内容を求めた。