【物流施設の進出相次ぐ佐賀県・鳥栖エリア】▼(3)コマーシャル・アールイー 
2008年04月17日 【物流ウィークリー http://www.weekly-net.co.jp/】コマーシャル・アールイーは1月、GLP鳥栖内で「CREロジスクエア鳥栖II」の開発に着手した。敷地面積1万263平方m、延べ床面積4774平方mの2階建てで、6月の竣工を予定。
テナントには紀文フレッシュシステムの入居が決定しており、岡山工場で生産した加工製品を集約し、九州全域への配送拠点として使うという。
同社インベストメント事業本部長の井口隆之氏は、GLP鳥栖への進出要因を「県が事業主体となっているためインフラが整備されており、余計な投資が必要なかった。価格も周辺に比べて高くなかった」点を挙げる。
同社は、同業他社より早い段階から九州進出をスタート。「II」と同じく鳥栖JCTに近接した好立地に、「CREロジスクエア鳥栖」を07年3月に竣工。すでに佐川急便などがテナントとして入居している。また現在、福岡と鳥栖の間に位置する福岡県筑紫野市に、約6万4000坪の「CREロジスクエア筑紫野」を開発中で、09年3月の竣工を目指している。
これら九州進出への背景について、同氏は「潜在的なニーズ」の存在を挙げる。「サブリース事業を長年手がけてきた実績から、全国に情報ネットワークが構築されている」。特に鳥栖エリアは、「昔から交通の要衝としての役割を果たしてきた」とした上で、「福岡の湾岸エリアは単価も上がり、多層階でないと採算が合わなくなってきている。鳥栖を含め、周辺エリアの倉庫需要が高まっていくだろう」と分析する。
事業用不動産全般を手がけている同社。リーシングや建築・設計、ファンド業務、プロパティマネジメントなどワンストップで提供できることが強みで、「物件を引き渡した後も施設管理をお任せいただくので、テナントオーナーとは長いお付き合いになることが多い」(同)。
同社は首都圏エリア、特に内陸部での施設開発を得意としてきた。3月後半には「同市川」(千葉県市川市)、「同加須II」(埼玉県加須市)が相次いで竣工し、6月には「同八千代」(千葉県八千代市)の竣工も控えている。
また、「ニーズのある地域、たとえば仙台エリアなどへの展開も視野に入れている」という。
■佐賀県担当者「予想以上のスピードで分譲進む」
「GLP鳥栖」の事業主体となっている、佐賀県の山口昭博・企業誘致担当課長は、「08年3月時点で74%が申し込み済みになっている」と現状を説明。「予想以上のスピードで進んだ」と、手応えを感じている。
同県は、物流不動産企業のように自社で倉庫を運営しない企業も積極的に誘致。「雇用創出や地元振興の面で長く貢献いただけると判断した企業にお越しいただいた」(原田保雄・企業誘致推進監)という。北部九州は自動車産業の集積が進み、経済活動も好調だ。大型用地へのニーズも相変わらず高いが、「鳥栖市内はもとより、県内にエリアを広げても大規模な用地を用意するのは難しい状況」(原田氏)とし、「ご要望に応じて中古案件をご紹介する」といった対応なのが現状。
一方、GLP鳥栖でも「深夜就業が認められない小規模の区画が売れ残っている」(同)。同県は「ここからが正念場」とし、就業規制に合う形の物流形態をとる企業にアプローチを図る。
なお、同県はフォロー体制を重視。昨年から、県のスタッフが別部署に異動になった際も誘致企業の窓口を担当し続ける「誘致企業永続支援員・企業誘致パーマネント制度」をスタートしている。
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