景気指数と物流環境 index(第23回) 物流マネー70兆円のゆくえ
平成新年度が始まった。世界の株価は景気を占う代表的な指標として使われている。日本も日経平均株価255社の動向が景気を示しているが、庶民の実感や賃金物価水準とは程遠い。この世の常識は私には非常識になっている。
物流業界はどうか。人手不足、引っ越しトラックが足りずに待機や様子見が続いている。地方からの大学生も着の身着のままでの入学式だったと伝えている。
宅配便は値上げが通ったようであるが、それでも運輸企業には追い風が吹かない。物流業界の料金体系は、バルティック海運指数1055が33年前の相場から伸びていない実態があるからだ。
4月は新年度であり、なんでも許される誤解があり、年度予算も依然として最高額を更新している。ケインズ学派の証明した完全雇用状況が日本ではすでに実現化されているのに、まだ有効需要が足りないからの政府支出が増えるのは明らかに間違っている。
株価を景気の指標とするために、株への投資を庶民に勧めるのはわからないでもないが、100兆円の年金基金を株式投資へ誘導した政策も誤りである。安定運用が求められるのに、リーマンショックのような人災が再び起きることをリスクとみなせず、景気指標を演出する政権というか、政局の扱い方に良心が感じられない。誠実さを失う経営や政治には将来が見えず、度重なる不祥事や政治の事件が物語っている。
国民幸福指標を定めるとしたら、それは出生率以外にはないだろう
労働人口と消費者、耐久消費財の代表である住宅や自動車は世帯数、人口に比例して国富が厚くなるものであり、OECD先進国でもイギリス・フランス・オランダ・ドイツはそこに向けてカジを切った。
物流は産業を支えており、国民の生活に直結している。作られた景気指数ではなく、実感のある先行指標を見出して、それをマネジメントしなくてはならない。結果に期待するのではなく、先行指標をコントロールすることが経営のマネジメントスタイルだ。
子どもが社会の宝であることを証明するための政策や経営施策が全く足りていないことを恥じて、そして新たな決意を誓うのがふさわしい新年度の姿である。
<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>