戦略を支える要素 − 第4回 物流不動産不況と戦略
目標と領域、方法と手段までを示さねば誰もが動けません。下手な考えや無駄な動きになって、どれほど屋台骨が大きく太くなっても企業は迷走するだけです。挙句にはチームワーク以下の官僚主義がはびこって、誰もが無責任の組織が大きくなるばかり。
意外と単純な設計作業ですが、経営者にも自信がない。環境が変わるし、「これでよい、今までもこれで成功した」という実感がないからです。
たまたまの成功体験もホントは単なる運のせいだったはずなのに、さまざまな理屈を付けてみるから、因果関係が分からなくなる。もちろん戦略計画が成功の原因になるときもありますが、何より企業の成功は天地人の幸運がめぐることが多い。ただ、間違った戦略には幸運はついてきませんけど。
目標と領域、手段と方法・・・・・結果としての社会への貢献と従業員の継続的な雇用と安定、納税とブランド知名の向上というのがモデルなのです。
物流は手段でしかありませんが、ここでの失敗は意外と取り返しがつきません。最も物流は需要者と供給者の双方からのアプローチが可能ですから、配達なのか集荷なのかは問わなくなりました。問題は物流拠点の立地であり、工場の立地なのです。
貿易不振のこれからの新産業は生産拠点と物流拠点の規模が競争条件になるでしょう。自動車をどこで作るかによって、すでに価格は決まり、機能に必要な部品の調達先が決まるからです。
鋳造エンジンからアルミダイキャストに代わると、原材料メーカーからの距離や位置が重要になります。「運べばよい、物流が片代わりする」とはいえ、立地は天運地運人運のすべてを統べる要素です。
香港という国は風水と気学によって設計された立地と言われます。その繁栄は易学で保証されているとも考えられています。
国家もゲオポリティクスという地勢学で歴史が示してきました。盛衰はすでに定められていると。
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(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)