M&Aの姿 − 15 
物流業界でも、M&Aが頻繁に起こるようになった。数年前、M&Aビジネスに携わる人が「きっかけさえあれば、物流業界の再編も一気に押し寄せる」と言っていた言葉を思い出す。
しかし、現状がそのまま続くのか疑問に思っている。
現在のM&Aには、勝ち・負けが常についてまわる。企業を買収した側が勝ち。買収された側が負けだ。
そのため、買収した企業と買収された企業の間で、軋轢(あつれき)が生じることも多い。
小が大を飲み込むことがあるのもM&Aの面白さだ。特に、そんな場合に軋轢(あつれき)がはっきりと現れる。往々にして、新しく、小さいが元気のある会社が、古い大きな会社を飲み込む。いくら両社がシナジー効果と謳(うた)ってみても、新しくできあがったグループ内には反発が生じる。
中には、M&Aされたことにより、優秀な人材が流出した企業もある。
そんな軋轢(あつれき)や反発から、M&Aの成果は、「数年間というスパンで見ていないと出てこない」(前出のM&Aビジネス関係者)とも言われていた。
「規模の拡大」「成長する時間を金で買える」と言ってはみても、本当にM&Aの効果が得られているかは分からない。
(続く)