羽田の国際化は物流にとってプラスか? − 26 
派遣社員の禁止は、物流企業にとってコスト高に繋がるものだ。一方、暫定税率の撤廃と、高速道路の無料化はコストを下げる役割を果たす。ただし、これも気持ちは複雑だ。
「これだけ大々的に報道されれば、荷主から物流費削減要請が来るのは目に見えている」とある物流企業の担当者。
コストが上がる状況でも、物流費には転嫁できず。コストが下がる状況では、物流費の削減要請を受ける。
動向が分からないのが、羽田空港の国際化だ。従来から言われていることだが、羽田空港近くに物流拠点は少ない。国際化したときの物流拠点は心配されていた。
今回、本格的な国際空港として動き出そうとしている。ただし、話の中心は旅客。物流面まで考えに至っていない。国際化をしても、空港の近くに物流拠点がなければ、輸送距離が伸びる。特に航空貨物は、スピードが求められる貨物が多い。輸送距離の伸びによるリードタイムが長くなるのは厳禁だ。そういった意味では、羽田の国際化は一筋縄ではいかないものだ。羽田の近くの物流施設争奪などが起こる可能性はある。
また、成田と中途半端に分離されれば、物流事業者は、両方に拠点・人員を配置することになる。それはコスト増に繋がることだ。物流インフラが整備されたとしても、成田との住み分けができなければ、羽田の国際化は、物流にマイナスの要因になりかねない。
(了)