頭で稼ぐか、体力勝負か − 70 
日本通運の中国現地法人・日通国際物流(中国)(以下、中国日通)が、中国東部の安徽省合肥市の合肥経済技術開発区管理委員会と「物流顧問契約」を締結した、というニュースが先日発表された。同管理委員会は、外資系企業の誘致、進出後のサポートを行う政府機関。中国日通は、合肥市へ新たに進出する企業に対し、同管理委員会を通じた関係機関への橋渡しとともに物流面のサポートを行うという。
http://www.nittsu.co.jp/press/2012/20120808-1.html
国際フレイトフォワーダーズ協会(以下、JIFFA http://www.jiffa.or.jp/)が、今年発表した『我が国フォワーダーの海外進出状況』によると、JIFFA会員の現地法人と駐在員事務所数は、併せて465ケ所と他国に比べ群を抜いている。各社の中国における競争は厳しさを増すばかりだ。すでに輸出入業務や中国国内物流だけでは顧客をつかみきれず、さらに高度なサービスを提供することで顧客を取り込もうとする戦略ではないだろうか。
また、物流合理化の進展、AEO(優良事業者認定)制度の導入などで荷主は、物流の仕組み、コストについて詳細に知るようになった。物流事業者も今までのビジネスを続けているだけでは、物流に詳しくなった荷主の手足となって使われるばかりで、収益をあげることは難しくなっていく。
点から点へ運ぶだけの物流サービスでは、この厳しい時代を生き残れない。競争にうち勝っていくには、今まで以上にオリジナリティの高いサービスを顧客に提供し、頭で稼ぐしたたかさが求められている。今後、頭を使ってサバイバルできる企業と作業だけを担当する体力勝負の企業とに物流業界の二極化は、より進んでいくだろう。
(イーソーコ総合研究所 鹿野島 智子)