大手フォワーダー3社▼増益予想、国際貨物 アジア・米州がけん引 
2012年05月30日【輸送経済(http://www.yuso.co.jp/)】
大手フォワーダー3社は今期、そろって増益を予想する。各社とも仕入れ原価削減や荷主ニーズへの細かな対応を強化。アジアを中心とした新興国や米州の荷動き活発化に対応する。
平成23年度、物量が低迷する中で2社が増収増益。日本通運(本社・東京・渡辺健二社長)の増収増益はアジアを中心とした新興国の国際物流事業がけん引。震災やタイ洪水に伴うサプライチェーン(供給網)寸断による航空輸出での緊急輸送で、1件当たりの単価が高かったことも増収につながった。
22年10月に郵船航空サービスとNYKロジスティックスジャパンが統合して発足した郵船ロジスティクス(本社東京・倉本博光社長)は統合効果で大幅な増収増益。
減収した近鉄エクスプレス(=KWE、本社・東京、石崎哲社長)も、日本の航空輸出や東アジア極の業績好調により2桁の増益を確保した。
今期は各社とも増益を見込む。日通は好調なアジアだけでなく米州に期待。「メキシコを含め米州で、自動車関連が非常に好調に動いている」(中村次郎副社長)。アジア強化の方針を打ち出しているKWEも今期、メキシコとブラジルで現地法人設立を図る。
業績を底支えするのは航空スペースの仕入れ値を抑えるといった地道なコスト削減。「リーマン・ショック以降続けていたコスト削減、仕入値削減の成果が出た」(石崎KWE社長)。日通も航空スペースの仕入れ値を抑えるため、混載貨物の効率化を図っている。
顧客ニーズへの柔軟な対応も鍵。郵船ロジは23年度、個々の顧客に対し海上、航空、ロジスティクスを総合的に提案する形の営業活動を展開。「新規顧客からの引き合いが増えている」(倉本郵船ロジ社長)。日通も「顧客ニーズの把握」を第一に取り組む方針。
欧州経済の先行きが不透明な中、荷主企業から「今期後半は見通しにくい」との声も。顧客の動向を見極めつつ目標達成への取り組みが続く。