東京倉庫協会▼河田榮司氏の講演に80人集まる 
2012年07月17日 河田榮司氏(日本物流施設社長、イーソーコ総合研究所取締役)は7月17日、東京倉庫協会で「大型物流施設の現状と未来」と題して、講演を行った。東京倉庫協会の会員から約80人が参加した。
河田社長は「大型物流施設の現状を説明するだけでなく、どう立ち向かって行くのか?対応策について、皆様と一緒に考えていきたい」と挨拶をした。
現状について、発表されている情報と、手に入れている情報をもとに「この1年強で、60万坪レベルの新しい倉庫ができあがるだろう」とした。そして、完成しているメガ倉庫は埋まっていることも説明し、危機感をあおった。
この動きの中心となっているのがファンドだ。「実はファンドもいろいろとある。開発して客付けをして売却して利益を出すファンドもあれば、運用で利益を出すファンドもある。両方対応するファンドもある」という。
ファンドによるメガ倉庫のメリットは多く言われている。天井高や床荷重の高スペックに加え、作業性や経済性の向上などだ。最近では、太陽光発電を屋根にとりつけるなどして、環境性能も売りにしている。デザインや快適性も高い。
ただし、ファンドが建設した物流施設のデメリットにも言及。「定期借家契約のため、期限付きの賃貸となる。再契約時には条件交渉が発生する。転売するので、オーナーチェンジが起こる可能性は高い。また、経済危機などによる非常時の対応は未知でもある」とした。
このようなファンドによるメガ倉庫の戦略の中で、既存倉庫会社の対応策として分譲手法を挙げた。「メガ倉庫のような高機能な大型倉庫を建てて、各社に分譲する方法がある。資産形成の面からも非常に有利だ」とした。
自社でメガ倉庫を建てる場合、事業規模以上のものとなり、空きのリスクを負うことになる。分譲にすることで、メガ倉庫のスペックを持ちながら、各会社が必要な広さを手に入れる事ができるのだ。
また、新規だけではなく、既存の倉庫の活用事例として、リノベーションを紹介した。オフィスに転用した事例のほか、バレエスタジオ、写真スタジオ、商物一体型の倉庫兼オフィス(ワイン)などを写真を交えて説明した。