ロジスティクスフィールド総研▼大型物流施設の空室率、全国で低下 
2013年03月04日 【LNEWS(http://www.lnews.jp)】
日本ロジスティクスフィールド総合研究所は2月18日、「昨年の物流不動産マーケットの動向と2013年の見通し」を発表した。
2012年の物流不動産マーケットの動向
プロロジス、大和ハウス工業、ラサール不動産投資顧問、オリックス不動産等のリーマン・ショック前の開発事業者に加え、GLプロパティーズ、グッドマン・ジャパン、三井不動産、三菱地所等が本格的に開発事業を展開し、開発事業者の増加を挙げている。
新たな需要として、2012年の首都圏における発生需要の内、約3割弱は通販関連による需要であったとしている。アマゾン、楽天物流、アスクル&ヤフー等の総合通販事業者向け、ZOZOタウン、モノタロウ等の専門通販事業者向け等が大規模スペースの確保を図っている。
中心となる需要層がこれまでの3PL 事業者による事業拡大需要だけでなく、通販物流による需要が新たに加わったことになる。通販については我が国のEC化率からみて、まだ、相当の伸びしろがあると考えられるとしている。
首都圏では2013年1月末で判明している大型賃貸物流施設(概ね5000坪以上)は2013年には大よそ130万㎡(延床面積ベース)、2014年には100万㎡強が竣工してくる見通しという。
2013年に竣工する物件においては既に約50%(延床ベース)のテナントが決まっており、テナントリーシングが順調と考える背景となっている。
同社の調査結果では、首都圏におけるテナント移動(成約ベース)面積は2012年は約53万坪(前期は約40万坪)と大幅な増加となっている。
首都圏の約53万坪のテナント移動について、3割弱に相当する約14万坪が通販関連の移転となっている。1社で大規模な賃借面積となる場合が多い。アスクル、セブンネット等が新たな需要主として登場してきている。
四大都市圏等の物流不動産マーケットの状況と今後の見通し
首都圏は、2012年末時点で、約500万㎡弱が開発され、今後、2014年末までには約700万㎡以上が開発される見通しで、空室率は市中倉庫で3%台と低い水準となっており、湾岸エリア等を中心にまとまった空きスペースが限定的な状況となっている。
湾岸エリア、埼玉県南部エリア等で賃料水準の上昇傾向もみられ、2013年も一部のエリアを除いては4%台以下の低水準が続くと考えられ、賃料水準は横ばいか、強含みする可能性があるとしている。
大阪圏は、これまで約200万㎡弱が開発され、市中倉庫も含めた空室率は1%台と極めて低い水準で推移し、湾岸エリアで賃料水準の回復がみられる。
空きスペースがほとんどないため、開発物件の竣工時にはかなりの床が消化されている。
堺浜地区で大規模なマルチテナント型施設開発があるものの2014年竣工予定のため、2013年も需給バランスでのタイトな状況が続くと考えられる。空きスペース不足傾向から、自社で開発するケースが複数みられる他、BTS型開発も多くみられるという。
名古屋圏は、約40万㎡が開発されてきている。2013年中には犬山地区に中規模のマルチテナント型施設が竣工する予定。 市中倉庫も含めた空室率は1%台と低い水準で推移している。
今後とも大規模なマルチテナント型開発の計画が限定的なこともあって低水準の空室率が続くと考えられる。賃料も横ばいか、一部では上昇してくる見通しとしている。
当該地区は物流施設向けの大規模な開発用地が少ないため、全国で愛知県が最も物流効率化法を活用した物流施設が多いエリアとなっているという。
福岡圏(福岡市周辺、鳥栖市等)は、これまで約40万㎡弱が開発されてきている。主に博多港背後地(箱崎エリア)、福岡IC周辺、鳥栖市周辺で開発が行われている。
BTS型開発が中心となっているが中規模のマルチテナント型開発も行われており、市中倉庫も含めた空室率は3.4%と比較的低い水準の空室率となっている。
今後、大規模なマルチテナント型施設の開発も予定されており、限定的な短中期の賃貸物流マーケットであるが、賃貸物流マーケットの形成が徐々に進んでいくエリアとなってきている。