国交省▼3月に有識者懇 設置 適正化、人材などテーマ 
2014年02月28日輸送経済
国土交通省は3月、トラック産業の適正化と活性化を話し合う有識者懇談会を立ち上げる。適正運賃の収受、法令を守らない悪質事業者の退出強化といった問題に加え、深刻化する人手不足の解消なども議論する。6月に1度内容を整理し、平成27年度予算案に必要な施策を反映する。
トラック業界では昨年から荷動回復など明るい兆しが見え始めた。国交省はこれを好機と捉え、有識者の議論をもとに、事業者が適正な取引をできる環境を整えたり、業界が抱える将来的な課題を前進させたい考え。
田端浩自動車局長は2月20日の会見で「アベノミクスの良い効果が出ているいまこそ、トラックを永続的に成長させるための課題に取り組みたい」と意欲を示した。
これまで業界の諸課題を検討する場だった将来ビジョン検討会は「一定の成果を残せた」(田端局長)として終了し、今後は議論の中心を有識者懇に移す。3月12日、初会合を開く。
適正化は踏み込んだ施策も
有識者懇では、トラック産業の「適正化」と「活性化」を2大テーマに設定。討論以外にも、委員からのプレゼンテーションを加えることでより実践的な議論を行う。
適正化については、昨年始まった法令を守らない悪質事業者の退出強化、新参入要件の厳格化などをどうすれば加速できるか話し合う。適正運賃の収受も議題とする方針で、「昨年までの作業部会の取り組みを土台に、より踏み込んだ施策も検討する」(貨物課)。
また、産業の活性化はこの数年手掛けていない新たなテーマだ。特にトラックで深刻化するドライバー不足に関し、国交省は平成20年以降、検討会などで対策を議論する機会が少なかった。
国交省は先月、省内に運輸業界の人手不足を検討するプロジェクトチーム(=PT)を発足。専門家から、業界に優秀な人材を集めるための方策を募っており、有識者懇ではPTで出た内容の具体化に向けて話し合う。
6月までに複数回開催
このほか、トラックの新たな事業展開、社会インフラとしての機能をさらに発揮するために何が必要かも検討する。
有識者懇は6月中旬までに3回ほど開催。その後も継続する方針で、田端局長は「優良事業者に配慮した施策も検討し、正直者が損をしない業界にする対策を講じる」としている。(小林 孝博)