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値上げ交渉、3月正念場▼成果挙がる半面、懸念も 

2014年03月17日

輸送経済

 目前に迫る消費増税。3月は食料品を含め、あらゆる品目で駆け込み需要が顕在化する。車両不足に荷主も理解を示し始め、運賃」値上げに動いた事業者も多い。複数の事業者で成果が上がる一方、4月以降の反動減を見据え「荷主の反応は鈍く、進展はあまりない」(関西の事業者)の声も。〝適正運賃〟が荷主に浸透するには、まだ時間が掛かるとの見方も出ている。  
 ある事業者トップは「運賃交渉はいましかない」と言い切る。車両不足は、深刻化するドライバー不足が主因。賃金を含めた待遇面の改善が欠かせない。そのための運賃値上げという認識が事業者にはある。低水準の運賃が是正されないと、4月以降の反動減後も、物量と車両の需給ひっ迫は続くとするのが事業者と業界の立場。だが、荷主はどう見ているのか。
 昨年末の繁忙期は、深刻なドライバー不足で「車の手配が困難を極めた」(北陸の事業者)。荷主も「出荷が遅れ、顧客に迷惑を掛けた」(食品メーカー)。
 例年なら荷動きが落ち着く1月は物量がそれほど落ち込まず、2月に入って増加傾向に。燃油価格の高止まりもあり、東京―大阪間など、長距離輸送を見送る事業者も出始めた。

荷主、車両不足に理解示すが

 荷主もこうした状況は認める。ある大手機器メーカーは「傭(よう)車費アップで、運送業者が車両の手配を渋り始めている。対応策を練っているところ」(物流担当者)。また、ある酒造メーカーは「複数回に分ける出荷を1回にまとめるなどトラックの積載効率を高めて、運行回数を減らす検討も始めている」。
 そして3月。食品を含めあらゆる品目で物量の増加が予想される。食品メーンの九州のある中堅事業者幹部は「これまでは賞味・消費期限がないような食品が前倒しで出荷されてきた。日配品が動く3月末は荷主の出荷対応に追われ、運賃交渉どころではなくなるだろう」。

運賃値上げ浸透はまだ先?

 荷主の間では「小口化の進展で売上高に占める物流費はむしろ上昇している」(飲料メーカー)との声が根強い。燃料高騰や人手不足も「運送業界だけの話ではない」とする。
 荷主の車両不足への認識は一過性のものだと指摘する事業者もいる。理由は「荷主は引っ越しの状況だけを見ている節がある」というもの。「特に営業部門は(車両不足に対する)危機感は薄い」
 駆け込み需要と深刻化する車両不足。事業者と荷主の運賃をめぐる攻防はまだ見通し切れない。(丸山 隆彦)