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トンボの目▼3PL事業、各社苦戦 傭車費が利益を圧迫 

2014年05月19日

輸送経済社

 ドライバー・車両不足に伴う傭(よう)車費の上昇が、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業の利益を圧迫している。荷主へのコスト転嫁が課題となっている。
 大手3PLのセンコーは前期増益を達成したが、営業利益実績は予想よりも7800万円少なかった。「要因として、傭車費の増加が大きかった」(福田泰久社長)。
 都内の非上場の中堅企業も「決算に影響が出ている」とする。「どの規模の傭車先からも値上げ要請が来ている。何とか抑えてはいるが、宅配絡みの仕事については安い運賃だと断られるため、各営業所の判断で値上げを認めている」
 また別の企業では、通販関連の3PL事業で宅配便の値上げ分の転嫁を荷主に要請したところ、協力を得られず取引が切れてしまったというケースも出ている。

転嫁の成否で傾向分かれる

 センコーは傭車費の増加分を、荷主との料金改定を進めることで吸収する。料金の適正化により今期、少なくとも18億円の増収効果を見込む。
 一方で、大阪の中規模企業のトップは「荷主への値上げはなかなか難しい。例えば飲料関係の物流子会社でも事情は同じ」と話す。「期中での料金改定はできないため、転嫁が1年遅れになることもある」。その分のコストは自社で飲むしかない。
 輸送力を安定させるには、傭車確保か、自社車両の増便か。どちらもコスト増が見込まれ、荷主に転嫁できるかどうかが3PL事業の収益力を分けることになりそうだ。(矢田 健一郎)