物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
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オリックス不動産株式会社 小山 幸男第一課長 − キーマンに聞く 第29回 

 住宅や商業施設、オフィスなど多くの不動産に投資を行っているオリックス不動産(本社・東京都港区、山谷佳之社長)で、物流不動産投資のキーパーソンと なっているのが、物流投資事業部の小山幸男・第一課長。オリックス不動産では2012年、岩槻ロジスティクスセンター(埼玉県春日部市)、川越Ⅱロジス ティクスセンター(同川越市)、所沢ロジスティクスセンター(同入間郡)、犬山ロジスティクスセンター(愛知県犬山市)合計約5万5000坪の新規施設を 着工。岩槻、川越Ⅱはすでに強い引き合いが来ており、リーシングも好調だ。多くのファンドが物流施設の開発を進めているなか、オリックス不動産の今後の戦 略、外資系物流不動産ファンドとの差別化について聞いた。

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――2012年、積極的な開発を進める。
小山 2012年、13年は当社や外資系物流不動産ファンドなどの既存プレーヤーのほかに、国内不動産会社など新しい プレーヤーも加わり物流不動産市場は大きく動く。当社は首都圏で年間約20万坪程度の新規大型物流施設ニーズがあるとみており、埼玉の3物件の開発・着工 に踏み切った。首都圏以外では未だスペックの高い大型物流施設の少ない中部にニーズがあると判断し、愛知県の犬山ロジスティクスセンター(約1万1500 坪、犬山市)を着工。4物件とも来年春に竣工予定で、この約5万5500坪におよぶ4物件を中心にリーシングを推進する。

――首都圏に年間約20万坪のニーズがあると見る根拠は。
小山 他社の動向を含め、今年から来年にかけて首都圏に約40万坪の新規大型物流施設が供給されるとみている。年間約 20万坪のニーズ見込みと合致する。テナントは、昨年の東日本大震災以前から拠点の集約、物流効率化を進めていたが、震災以降はBCP(事業継続計画)の 観点から物流施設に安全性を求めているのを感じる。今までの拠点集約ニーズにBCPという安全性のニーズが加わり、テナント側のニーズは拡大している。特 に、埼玉は都内に比べ賃料が安いというメリットもあり、液状化などの不安から内陸を志向するテナントのニーズにぴったりだ。また、立地的にも首都圏をカ バーする配送拠点として、優位性がある。道路網も整備されてきており、東北復興需要にも対応できる。

――テナントに合わせるBTS型で培ったノウハウを生かしたマルチテナント型センターを開発。
小山 本格的にBTS(ビルド・トゥ・スーツ)型からマルチ型施設開発に転換したのが2009年。それまで21件の BTS型施設を開発、昨今注力しているマルチ型施設を含めると33件の投資実績があり、そこで培ったノウハウが当社の強みだ。一般的に画一的な設計が多い マルチ型だが、当社のマルチ型施設は、1件、1件設計、レイアウトを変えており、エリアや顧客ニーズに柔軟に対応した造りになっている。顧客の要望があれ ばBTS型の開発も引き続き検討していく。さらに、去年手掛けた鶴ヶ島ロジスティクスセンターは、テナントがついていない既存物件の取得であったが、長年 のノウハウが生き、すぐに新規テナントとの長期契約を実現した。

――新規大型物流施設の供給で首都圏の物流施設の空きが増えることが予想される。
小山 新規大型物流施設への集約の流れは止まらず、旧来の空き倉庫が増えるのは確実だ。当社は、空きのでた物件を目利 きし、リニューアルを手掛けることを検討している。5000坪以上の規模のものがターゲット。既存施設を改修することで、開発コストをかけず、賃料も新規 施設よりは低く設定できる。再利用後は、次の開発のための用地としても利用できる。

――リーシング部隊では女性が活躍している。
小山 営業の女性3人は、ロジスティクス検定3級も持っている。商業施設の開発、リーシングの経験もある彼女達は不動 産のプロであり、物流を最大限効率化する施設を提案できる物流のプロでもある。横浜町田I.C.ロジスティクスセンター(東京都町田市)、ロジスティクス パーク野田船形(千葉県野田市)がほぼリースアップしているのも、彼女達の活躍が大きい。

――商業施設部門との連携も強み。
小山 当社は物流施設専門のファンドと違い、グループに商業施設などの開発を行う部門がある。そういった商業施設やホ テルの開発を行ってきたメンバーが物流施設の開発に携わることで、パートの女性達が快適に過ごせる休憩所やパウダールームの設計、洗練されたデザインのエ ントランスなどを実現。また、オリックスグループ全体の情報交換も活発で、他社の開発とは違うグループのシナジーを出せる。今後も、顧客のニーズに最大限 対応できるソリューションを提供していく。