物流不動産ビジネスの可能性(不動産事業との融合)− 第2回 再び学ぶ物流不動産
不動産ビジネスの最大の課題は、不動産という名の下に動かしがたく、高額な資産、という制限です。かつてのバブル期には、証券 と不動産が高騰しましたがビジネスとして参入できたのは、ごく一部の富裕層や資金調達が可能だった特殊な企業家ばかりでした。庶民やサラリーマンにとって は、バブルは隣家の庭同然で、自らとの関わりはほとんど無かったのです。
バブル期の反省から不動産の短期売買差益については高額な税が課せられるようになり、不動産の流通量が激減しました。そのまた反省から、不動産の流動化を促進するために税法も事業法も大きく様変わりしました。
ビジネスの基本は自由度があるかどうかです。販売したり生産するために資源があまりにも希少であれば、事業者の拡大は見込めません。不動産にして も千代田区1丁目1番(皇居のことです)の売買は、唯一絶対ですから流通することはありません。このように不動産の流動化とは、実は非常に難しい課題を 持っていたわけです。
先に短期売買は高額な租税を課していると書きましたが、不動産の流動化のためには「売買」という概念を変えることができたのです。それは、信託銀 行に許されていた「信託財産」と新しく認めた特別法人=特定目的会社(SPCとかTMK とか呼ばれています)による取得と納税の仕組みです。
詳しくは次号で解説しますが、SPCによる不動産の取得は、不動産収入(売買益や賃貸借収入)について非課税とするものです。
つまり、1億円の不動産をSPCが購入して運用した場合、不動産についての課税は免除され、結果的にSPCの株主によって所有権が流動している、1億円の不動産がたとえば5万円の株券に分割して流動している状況が生まれたのです。
これによって、不動産の流通が活発となり、しかも富裕層や事業資金の余裕のある特別な層だけに拠らない不動産事業が可能になたわけです。
され、最近5年間で活発化したメガ物流施設もこの手の手法を最高度に活用していることを知らねばなりません。次号で不動産証券化のスキームを紹介しましょう。
イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵