マーケティング - 第11回 物流不動産&EC物流の解決力
市場のニーズを捉えて、収益を継続・拡大することがマーケティングである。すべての企業活動の原点であり、物流活動はマーケティングの最終段階に含まれる重要な位置にある。
ECは時間と空間を超越する手段であり、バーチャル空間を最後に現実空間に表現するのは物流である。物流はビジネスの最後の砦を果たしていると言える。マーケティングの目的は市場のニーズを把握することであるが、業種によってその手法は異なる。製造業はモノづくりの永遠の課題に押しつぶされそうになる。
- どんな商品を作ればいいのか?
- いくらの価格に設定すればいいのか?
もしこの時、たった一つの商品をいろいろな価格設定で売場に並べる事が出来たら、商品の人気反応と価格を確かめる事ができるだろう。
ネットショップでは、ABテスト販売という方式でこれが可能になる。人気と価格を評価につなげるには、予約注文を募ればいいのだ。
小売業はいい立地の店舗を確保する事と品揃えの充実にどれ程の資金を必要とするかと、夜も眠れない問題に追いかけられている。資金は店舗という不動産と多くの在庫に全て消える。まさにギャンブルにも似た挑戦がビジネス要素になっている。
もし、店舗が24時間開かれ、外国語表示で誰でも買い物が出来ればどうか。立地問題は営業時間で代替し、品揃えは一点だけから在庫は少なく、予約から生産開始となるなら、資金は最小限で済むだろう。
このようなマーケティングはECと物流の組み合わせそのものであることに気づくだろうか。
全ての産業にはITが入り込み、情報が最も重要な経営資源になった。であるなら、ECと物流の可能性は徐々に取り組むべきであり、小さな成功経験を積み上げるべきなのだ。
製造業も小売業もネットショップを開始して、物流の受発注は形式を問わないオンラインに切り替えるべきなのだ。
ビジネスパートナーは地球の裏側に探し出すべきだし、活動時間は24時間に仕立てる事を意識すれば、格段に自社のマーケティング対象が変わる。
ビジネスの課題はマーケットにしか答えはない。だから、マーケティングは社外に答えを探す旅の様なものである。自分を知り、備えを整え、情報を求めて即応反応する事が基本だ。
正しい答えが見つからなければ、試すしかなく、それがABテストであり、少ない品揃えで販売を仕掛ける事なのだ。
ECと物流は勝つための強力な武器ではなく、マーケティングが持つ最大の力、すなわち負けないためのツールである事を再確認しておきたい。
正しい道、成功への方策を探し出す事がソリューションと言うものなのだ。
(イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵)