現場設計 - 第9回 物流不動産Bizの人材開発
営業活動は相手次第の出たとこ勝負だ、と勘違いしているベテランが多い。対面した時には話題の選定からすれば、確かに何を語るのかは相手次第。しかし、どんな球にも打ち返せるレシーブのうまさに自信が持てるまでは、定石を覚えなければならない。デスクワーク、営業商談、体で勝負の物流現場や大勢を相手のプレゼンも、実は公式やセオリーがある。それは、実は習うものではなく自分のスタイルなのだ。言うなれば自己演出であり、場面設定に応じた朗々とした演技なのだ。
活動は時間で測り、成果で評価する。プロセスも結果も大事だから、出たとこ勝負の成り行き次第では困るのだ。限られた勤務時間内で月次の業績を収めるためには、学習と内省の結果を踏まえたスタイルの構築なのだ。これを設計と呼ぶ仕事のデザインだ。システム思考であり、システム設計なのだ。
システムは最終目的に向かって、input output の連続プロセスを組み立てることだ。途中には判断分岐があるし、長考という保留サイクルも登場する。
組織営業、科学営業、標準作業や事務処理もすべてがシステムで組み立てられている。突然起きる中断や停止はリスクであり、前もって覚悟や備えておかねばならない。
何事かをインプットした時に必ずアウトプットが生まれる。思考や設計、スタイルはアウトプッとからリバースさせて考え、組み立てなければならない。全体をデザインするとはこのことだ。
商談の成果が欲しいのであれば、何をインプットさせれば良いか、ただの商談時間だけでは何ものも生まれはしない。相手に合わせて情報を提供する、決断を迫る、損得の判断をリードさせるために、次々と相手にインプットさせなければならないのだ。
一連の流れとプロセスを整理して行けば、アウトプットさせるために何を提供すれば良いのかがわかってくるものだ。
相手に何回イエス、とつぶやかせればクロージングできるのかの経験値は持っているだろう。即決ということはありえないし、急がせればキャンセルや中断も起こりうる。
相手にとっての検討項目、課題解決、解決へのシナリオを順にトレースすることが商談なのだ。
先輩たちの経験談はマニュアルに転換できるだろう、個性が不要な業務は手順書にまとめられる。成果が出るまでのインプット時間やドキュメントの枚数は、経験値から管理指標になるだろう。それがKPIであり、閾値に達するまでは数値管理が必要になる。記録と内省が必要な項目だ。
業務日誌や商談メモに、事実と感想意見を分けて記録すれば、KPIが何であるか、本当に役立つKPIを見出すことができるだろう。
仕事の成果が契約や金額、個数や規模で測れるなら、全ての活動にはKPIが付いて回っているはずだ。自分で測ることもできるし、チームや部下の動向もKPIで確率が見えてくる。
行動や活動は測定できる、測定とはメジャーのことであり、マネジメントの語源なのだ。
イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵