定着させる - 第14回 物流不動産Bizの人材開発
どんな企業でも人が宝だと経営者は言う。とうの本人たちはどう思うかは別なのに、一方的なラブコールとも思える。雇用契約と報酬で縛られている、約束で守っていると勘違いしている。人は居心地の良さを求めて、今を不満に思い、憧れて別の職場を目指すから労働力の流動性と雇用市場が出来上がっている。人材派遣会社も一緒に青い鳥を探してくれると約束してくれるのだ。
<石の上にも3年>などというのは過去の遺物であり、3ヶ月で見切りを付けるのが若い人の常識なのだ。もし、幸いにも居場所としてチームの一員となったら家族として受け入れる思いが何より重要だ。日本的雇用環境でも最大の宝は家族主義だと言える。スキルとポジションで仕事を選ぶほど、まだ日本は割り切れていない。だからこそ、企業も上司も居心地の良さを作りださねば人材は真の能力を発揮することはしない。
自らが学び育ち成長しても、巣立ちの準備をするようでは困る。「会社のカネで学ばせてもらった」と思うのは、片隅で馴染めなかったという寂しさが漂っている。
終身雇用とは言わないが、卒業までの数年間を成長の時間としておきたい。居心地の良さは緩さやヌルさではない。高い目標があっても伸びられる自信とサポートがなくてはならない。
女子高生でもパパが好き、ということもあるらしい。相談、説明、イザという時の手助け、をしてくれる頼りになる父親像がある。
号令、大声、取り上げ、とは逆効果である。ホウレンソウを強要し、説教に明け暮れ、言うことを聞け、という鬼軍曹は過去の遺物だ。
人材を定着させるには、家族として見守る母親の感性と頼りになる父親がいる家族主義でなければならない。
会社の公用語として、Iは禁止。いつもWEで語りたい。
HOW MIGHT WE?
「私たちの使命はこうあるべきだし、私たちはこうありたい。で、君はどう思う?」
日常会話がこうあることが理想だ。組織がひとりひとりの役割を持ち、ズルを排除し、怠けを戒め、常に成長を目指したい。問題が起きれば全員が受け止め、逃げずに解決のために知恵を出し合う。ひとりひとりの意見を聞き、積上げて解決に向かう。
私たちには何ができる? 私たちはどうあればいい? 私たちは何をすべき?
こんな会話と会議で溢れていれば、こんな居心地の良い職場はないはずだ。
イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵