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アメリカ物流トレンド見聞 その7「日本の異質な就活」 - 160 

今年の夏、イーソーコグループ内にインターンの学生が約20人も来た。改めて思ったが、日本の就活は特異だ。

彼らはみな大学3年生になって半年ほど。大学生活1年半を残して、早くも大学を出た後の就職先を探すのに躍起だ。インターンの期間中、参加してくれた学生が「働くとは」についてグループプレゼンを行ったが、私が21歳の時はそんな事まともに考えたこともなかった。実際、高校を出てまだ2年の彼らには難しい題材であろう。プレゼンはそれぞれおもしろく個性もでていて、考える良い機会になったとは思うが。

それはさておき、私は日本の就活システムに違和感を覚えている。様々な意見があると思うが、彼らはまだ大学3年生の中盤に差し掛かったばかり。大学での学業はどうなっているのだろうか。学業より就活優先という印象が否めない。

本来であれば、大学4年間の活動や成果の末に、どの会社に行きたいとか、自分の強みや夢を天秤にかけて方向性を定めればよいと思う。企業側は彼らの活動と成果に基づいて採用するかしないか判断すべきではないかと思う。

昨今では3年次にインターンシップに参加することが当たり前のようになっている。しかしこのシステムの場合、都内で働きたいと考えている地方の学生たちがインターンに参加するのは簡単ではない。休みを利用するといっても自宅から通える都内の学生に比べその負担は大きい。彼らにとって不利にならないか。

さらにいえば、海外留学組はどうするのか。以前より減少したとはいえ、海外に留学している日本人は6万人くらいいる。海外の大学は夏休みの時期も異なれば、卒業の時期も違う。彼らは会社説明会にも就職面接にも来ることができないし、当然インターンなど無理。かつては、日本の卒業式の時期にアメリカの大学で採用面接ブースを構えてくれた日系企業も少なくなかったが、ほとんどの企業はそんなコストのかかる対応はムリだろう。グローバル化やダイバーシティが騒がれているが、こうした仕組みの下では様々な価値観を持つ国際的な人材を呼び込むのには難がある。

様々な調査機関があるが、2016~2017年のTimes Higher Educationが発表した最新の大学ランキングによると、東京大学は34位。アジアのなかで比較しても、12位シンガポール国立大学、13位シンガポール南洋理工大学、24位清華大学、27位香港大学の下だ。日本人のなかで超エリートと思っている東大を凌ぐ学生が、世界やアジア域内にはごろごろいる。さらに東大以外の日本の大学は56位以下だ。日本の企業が世界で勝つために必要なのは就職活動に専念してきた学生ではなく、このランキングの上位に入るような大学で学業に専念してきた優秀な人材だ。彼らに門戸を開かなければならない。

大企業に入れば定年まで安泰というのはもはや過去の話となった現在、人材の流動性は当然高まってくる。大企業のメンバーシップになることも素晴らしいが、就活のための大学になってはいけない。個人が大学在学中に各自の能力開発ができるよう、就活システムを今一度見直してもらいたいものである。

(日本物流不動産株式会社  代表取締役 池田晃一郎)2016.10.20

 

日本物流不動産株式会社:平成25年設立。倉庫賃貸をはじめ、倉庫や事務所等の商業用不動産の仲介、外国人向け物件紹介サイトの運営が主業。物流業務に役立つ「物流不動産英語塾」や高品質なメイドインジャパンのアジア向けEコマース事業も展開中。

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