人材が輝く舞台 block - 第27回 物流不動産Bizの人材開発
人は幾つもの顔を持つ。仕事と家庭は当然としても、それぞれの場面で役割を演じている。辛い時、苦しいときでも笑顔で自らを奮い立たせていることもある。学んだ知識や技術で人柄や態度も変わる。人格は過去の行動と発言で人に理解を促している。同じ提案でも<何を言うか、より誰が言うか>が異なる価値を持つことがある。
仕事も人生も舞台と見るなら、ブロックという立ち位置がスポットライトを浴びるために必要だ。主人公のように流れを語り、観客を引き込むことが役目なのか、脇役や背景のように主人公を引き立てる役目なのか、その立ち位置、ブロックが重要なのだ。
いつもライトを浴び続け、緊張の連続では身が持たない。時として交代して後ろに下がることも、シフト休演も必要だ。業務でも客先商談でもブロックという立ち位置を経験しなければならない。
優れた人材をいつでも主人公のスターのように捉えてはならない。リーダーは常に先頭に立つとは限らないのだ。羊飼いのように後ろに座して、いざという時の方向とタイミングを図るのも現代のリーダーの姿であり、頼りになる存在なのだ。その役割は経験が欠かせず、舞台により多く立つことが必要だ。場面を準備して、舞台を作り上げるにはチームワークや経営者の配慮が必要になる。
訓練もパーツに分けたものから、集大成としてのリハーサルまでが舞台を支える構造になっている。
会社がステージを準備して、メンバーが交代に舞台に上がる気分を持てれば、ビジネスはパフォーマンスを発揮するための器になってくる。顧客や仲間に「見られている」という実感こそが最大の緊張と感動を生むはずだ。
・舞台を作る
・パフォーマンスを見せる
・役柄ロールを使い分ける
・成果は人格となる
舞台とブロック、ポジションと役割のロールを作り上げて、見せるためのパフォーマンスをビジネスに組み込めれば、日々の活動は惰性や習慣から抜け出すことが出来る。人材育成の最終形は独り立ちの記念日にならなければならない。若い仲間を受け入れ、育て上げ、独り立ちさせるためには、舞台設計というビジネスの場面を全社を上げて作り上げることを目標にしたい。
仕事はルールと評価だけでは行き詰まるのだ。外部環境に合わせ、顧客の動向を見据え、競合の先をゆくためにも、のびのびとした主人公の登場を期待したい。それは、輝ける舞台が準備されているか、という環境整備にかかっているのだ。
イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵