物流不動産ニュース

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足りぬ足りぬは工夫が足りぬ? - 115 

物流業界における人材不足が顕在化しつつある。特にトラックドライバーは14万人も足りなくなるといわれており、最も悲観的な予測では国内経済が成り立たなくなる可能性もあるという。人材不足対策は物流業共通の課題であり、若年層へ向けた物流業の魅力創出・発信から外国人労働者の受け入れまでさまざまな案が議論されているが、しかし根本的な解決策は未だ見出されていないのが現状である。

人材確保への取り組みが続けられている一方、物流の仕組みそのものを更新することによって人材不足を補おうという動きもではじめている。あるメーカーでは運送会社からの提案を受け、同業他社との共同配送システムを構築した。トラックの積載率を上げて車両数を減らし、ドライバー不足にも備えている。こうした施策の副次的な効果として、輸送コストの削減も期待できるという。

語弊を恐れずにいえば、従来型の物流は「余裕」の上に成り立っていたといえる部分が少なくない。シーズン波動の吸収や緊急事態に備えるために、トラックの台数や人員、倉庫の空きなどに一定の弾力性を持たせておくことは重要なことだ。しかしその弾力性=余裕が「無駄」になってはいないだろうか。足りない足りないといいつつ、弾力性を確保すると称して必要以上の人員を待機させていたりはしないだろうか。

物流業界のおかれた状況は、絞った雑巾をさらに絞るとまでいわれるほどだ。しかし視点を変えて見れば、多くの収益化のヒントが手つかずのまま、まだ残されているのではないだろうか。前述のメーカーの共同配送などは、その一例にすぎないのである。大切なのは、不足しているところから絞り取るという発想ではなく、新たな価値を創出する、クライアントに新たなメリットを提供するという発想だ。その意識の有無は、自社の収益力強化にもつながるはずである。

(久保純一)2015.08.05