倉庫を「運営」していますか、それとも「経営」していますか - 119 
物流が儲からない、お金にならないといわれてからずいぶん経つ。収益力の強化は賃貸倉庫、営業倉庫を問わず多くの物流施設のオーナーにとっても共通の課題だが、賃料上乗せ、保管料アップなどは現実的とはいえず、倉庫業界には手詰まり感すら漂っている。だがあきらめる前に、少し考えてほしい。その倉庫は、ほんとうに儲けを生まないのだろうか。
倉庫や物流施設のオーナーに主業を聞くと、多くが「倉庫の運営です」と答える。「運営」とは組織やプロジェクトを動かし業務を推進していくことであって、その答えに間違いはない。しかし倉庫を運営しているという見方の多さからは、倉庫や物流施設をコストセンターと位置づける考え方の根強さを感じてしまう。
ここ数年来、倉庫や物流施設をプロフィットセンターと捉えることの有用性がいわれ続けてきた。その捉え方に拠れば、倉庫は運営ではなく「経営」されるべきだ、ということになる。「経営」とは、何らかの目的を達成するために持続的に事業を遂行することを指す。倉庫や物流施設の保有は、そもそも営利が目的だ。単なる言葉遊びのようだが、運営から経営へと考え方を変えることで、倉庫というアセットに対する見方も変わってくるのではないだろうか。
実は経営にはもうひとつ、建物を建てるという意味もある。大規模施設に対抗したいなら近隣と共同で建て替えてもいい。小規模倉庫へのニーズがあるなら既存の施設を小割りしてもいい。空き地があるなら駐車場にしたっていいし、新たに建物を建てて貸してもいい。単なる運営から離れれば、収益化への発想はさらに広がるはずだ。
(久保純一)2015.09.20