CRE戦略と税法及び対策 − 第11回 CRE戦略と物流不動産
企業不動産に関わる税は、大きく分けて3つの場面があります。フローとしての売却や取得、ストックとしての所有や利用、保有者の機関形態や所有形態の違いによる税制です。
不動産の取得、売却では土地バブルの教訓から様々な税制改定が行われてきています。税法の知識と同時に昨今はやりのM&Aでの企業統合では、先方企業の保有資産としての不動産をどのように評価するか、というデューデリジェンス作業がもっとも重要になります。つまり、不動産の価値と同時に所有権の移転に伴い税効果を正確に試算しなくてはならないからです。
固定資産の交換や特定資産の買換特例などの圧縮記帳(簿価の算定記載方法)など、特有の税の適用がありますので専門技術が欠かせません。
所有や利用のストックとしての税では、路線価格に代表される不動産の価格形成情報の活用が求められます。行政では不動産価格のデータベースを整備していますので、様々な評価基準が入手しやすくなりました。これらを利用することで、事業継承や相続税法の試算が簡易に行えるというメリットがあります。
このように3つの側面で税法を適用してゆくように、CREにおけるタックスプランニングという業務が確立され、さらに形態別の知見が重要となるわけですので、管財的なその時その時での調査や依頼ではなく、事前準備や試算作業の段階で正確な税の遡及を計算しておく必要性が高まって居るとも言えるでしょう。本テーマについてはCRE戦略の手引き、においても企業事例や税務対策事例が紹介されていますので(手引き24~40)参考にしてください。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)