関係法令入門(不動産法令)− 第3回 詳解 物流不動産関係法令
不動産とは土地とそこに定着した離しがたいもの、ということで建物や樹木が代表です。不動産でないものは動産と呼びますが、船や飛行機も不動産に準ずるものだそうです。
土地と建物は定着していて離せませんが「登記」では別々に行うのが日本の特徴です。この登記関係では最近、大改革が行われています。電子政府の施策一環として、登記手続きのオンライン申請が認められるようになり(地域法務局の整備状況に依りますが)権利証(登記済み証)制度がなくなりました。
「借金のカタに権利証をよこせ」という会話は無くなりつつあるのです。不動産の所有権も、不動産投資信託(REIT)や特定目的会社(TMKとかSPC)によって、証券化などが登場しています。
デジタル化された登記簿は不動産番号が付けられて、その体裁も一変しました。公図と呼ばれる図面も通称「法17条地図」や「第14条地図」など形態が分かれています。不動産取引に欠かせない「重要事項説明書」の項目には、土壌汚染状況、アスベスト使用事実、耐震構造、防災地域の可否など、次第に不動産そのものの説明責任が増えてきています。
不動産の特徴は現地現物を見ることができますが、その実際は登記簿や図面によって初めて権利関係や地積や境界線が分かるものです。これらの調査手続きを経ないで、目前にあるものだけを信じてしまっては後々のトラブルにつながることが多いものです。(原野商法、というのが代表です)
物件の特定は専門の不動産業者のサポートを必要とするとはいえ、アドバイスには図面や登記簿、地目(用途)を明示している課税台帳の写しなど、多くの法令に従って整備された書類を整えておく必要があります。
不動産図面を見ていると、測量当時の道路や水路、目前ではすでに無くなっている道路や境界線の複雑さにびっくりすることがあります。
目に見えるものだけが真実ではない、という実感は不動産ビジネスでは日常茶飯事なのですね。次回は契約の基本についてです。(続く)
イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵