物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
最新ニュース・情報を発信しています。

  • メール会員情報変更
  • メールマガジンバックナンバー
  • ニュースメール配信登録

景気と金融 earth+5%(第15回) 物流マネー70兆円のゆくえ

ラリー・ハニガン(Larry Hanigan)オーストラリアのコラムニストは自身のHPで政治と経済の多くを語り、投資過剰の近代に警鐘を与えてきた。

経済成長は投資資金の利子率以上にはありえず、全ては金融機関の収益となって成長の成果は隠されると語っている。経済活動は投資によって開始され、その成果としての成長は融資返済で終える。つまり、金融機関の融資返済のために成長は必要であり、所得の再分配は行えない実態があるという。

預金準備率は500億円までは0.1%であり、500兆円の融資残高が可能となる。金融機関はこの原資を元に投資活動を誘発して、利子率という収益を獲得する。(我が国の金融機関預金に対する融資実行額を示す金融預貸率は70%以下が実態である)

すべての投資が律儀な経営者によってなされれば、すべての返済を満たすために成長が必要であり、それは利子率と等しくなる。その実態はトマ・ピケティ教授によっても証明され、r>g (利子率は経済成長率を上回る)ことと経済格差の原因とされた。

我らの事業目的は社会にとって有効なのか
我らの投資資金はどこからもたらされ、返済されてゆくのか


これらの2点に答える時、ビジネスと社会の成立が問われている。産業は国民生活とともにあり、貧困や経済格差が解消されなければならない。ビジネスは地球や国民生活というエコシステムの中でしか存在理由はなく、存続には多くの支えと支持が必要なのだ。

事業の成長が投資家のためだけであれば、経営者は投資家を目指すべきであり、脇道にそれることはムダなのだ。株式会社が所有と経営に別れる時、成長のジレンマが生まれてしまう。

物流活動が新しいエコシステム、製造流通の分業や代替につながる現代では、資本の論理と社会福祉を両立させる必要がある。それは地域への貢献であり、雇用の確保や消費の促進、ひいては生活福祉の向上に繋がらなければならない。

巨大な物流施設が長期雇用を保証する新しい産業として地域に根づく時、巨大資金の有効活用が社会においても有効であることの証明になるだろう。

<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>