マネーと税の関係 income tax(第8回) 物流マネー70兆円のゆくえ
マネーという金額で表されるフローとストックには、取引を伴うために国家は税を課している。ストックを持つということは、資産税の対象となり、相続税や固定資産税が代表だ。
フローを手に入れるということは、交換を行って価値の創造行為を伴うから、付加価値税である消費税や年間の所得税対象となる。
フローにもストックにも懲罰的な意味と社会厚生的な税の徴収が行われる。
マネーで示される商品やサービス、不動産や財産証券には税がついて回るものだが、税を回避する方法もあるのだ。それは特殊な事情を認めた国家の采配だ。
例えば、消費税の小規模事業者の特例措置や海外取引に関わる二重課税の回避としての免除。不動産における譲渡所得税の免除、取得と保有に関わる贈与税や固定資産税の減免措置など、あまり知られていない租税回避策が非常に多くある。
明らかに誤った表記や宣伝の方法では、『消費税はいただきません』、『消費税相当額の割引』として、代金の8%相当を減額するものだ。
本来の消費税は取引に関わる付加価値部分についての課税であるから、事業者にとってみれば、販売額の8%相当額から原材料仕入額に支払った8%相当額の差額部分だけが徴収額になる。
仮に600円で仕入れた商品を1000円で販売するときには、
仮払い消費税は600円の8%で48円、仮受け消費税は1000円の8%で80円、納税義務額は 付加価値である400円相当の8%で32円、つまり80円から48円を控除した額になる。
事業者が負担すべき消費税は32円なのに、80円を値引きしていると錯覚をもたらす商法は誤りなのだ。
不動産売買にはかつて懲罰的意味合いの強すぎる、取引制限にも似た譲渡課税が行われていた。そもそも土地や建物の相続に関わる売買収益は、「不労所得」の最たるものとして勤勉的国民性からは忌避されていた。
不動産バブル期の取引では、一年以内の売買譲渡では100%の懲罰的課税が課されており、実施的な不動産取引に禁止が行われていた。
ビジネスにおける取引や不動産開発では限られた経費で最大の売り上げや利益を追求するためには、原価構造や管理費コストダウンの他にも租税回避や税の知識を深めることが得策といえよう。
●税といえば税理士、公認会計士が専門なのか?
●取引やビジネスに詳しいのは、税の専門家なのか?
税の専門家はビジネスの門外漢であることを認識しないために、多くのリスクを抱え込んでしまうことが多いのである。
次回は物流不動産に関わる税とその回避策を解説する。
<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>