水産業の流通問題(その2) − 第5回 大きく変わる業種・産業界
B 水産業をビジネスモデルに仕立てる
豊富な海洋資源に恵まれた我が国の水産業は、減少してゆくばかりの近海漁業と国際貿易での冷凍鮮魚の二本立てて成り立っています。
二玉160万円の初値が付いた、夕張メロンのように、青森県大間のクロマグロも一尾数億円の高値がつく希少品です。水産ブランド商品はその他にも各地で 商品化が進み、今ではスーパーの目玉商品にまで登場しています。ブランド価値は希少品というわけではなく、養殖や特殊な生育方法を採用したことによる食味 でも競われています。
例えば、熱海や伊東など伊豆半島の名産である「アジの開き」にも、ブランド化と国際化が競われています。欧州より冷凍アジを輸入したり、アジアで加工して更に冷凍した、「冷凍アジの開き」が土産物店では価格差として商品を競っています。
近海もので浜干し、輸入物で冷凍解凍、いずれも価格と食味の深さで勝負しています。このような量産化計画に合わせた水産商品がこれからのビジネスとしても有望です。
低価格ならば輸入加工品、高級食材なら近海物というように、水産食品はきちんと棲み分けています。
ちなみに、さかなやさんには大きく分けて鮮魚店と塩干店があり、アジの開きは塩干店の主力商品になっています。
さて、水産業界でのビジネスモデルは、郵便局をパートナーとした『お取り寄せグルメ』などの産直品が有名ですが、カタログをネット化したECサイトでは果物と鮮魚は大人気商品になっています。
希少品、価格比較、食味、産地ブランドなど、日本人好みのおサカナは、今後の有望株であると言えるでしょう。コメの消費量が小麦やパンに変わった のは、世代交代なのかもしれませんが、畜肉と水産品は年齢構成の変化とともに、これからの消費量が逆転する可能性が大であると言えるでしょう。
食卓が健康生活に欠かせないという評価は、これからもますます高まり、より買いやすいECサイト、より高付加価値のブランドおサカナが登場することが期待されるのです。 (イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房 陵)