物流と金融融合が景色を変える Logi-finance(第19回) 物流マネー70兆円のゆくえ
物流はコストとの戦いであり、日々改善に終わりがない。効率化とはスピー
ドと生産性のことであり、同じ時間で昨日よりも沢山の仕事をこなすことが求
められてきた。今、この常識が覆される時代になってきた。つまり、コストで
はなく利益追求、利潤貢献の物流サービスと活動が実際に起動し始めているの
だ。
資本家とは誰なのか。
資金はどこに集まるのか。
マネーの習性は誰が熟知しているのか。
現在の資本家は株主資本が最大である。発行済み株式数と時価によって、時
価総額主義が選択されている。少し前は不動産帝王というのが跋扈していた。
日本も世界も不動産こそが景気を支える主人公だったからだ。
ところが、不動産は希少資源ではあるけれども、分解、分割、流動化によっ
て帝王だけが保有できるものから、庶民でも一口地主になれる時代になり、不
動産の優位性は一気に揺らいでいる。失墜したわけではなく、希薄化されたと
言っても良いだろう。
不動産を基本に資金供与を行ってきた銀行が低迷しているのは、この理由で
あり、マネーの習性や技法は銀行家よりも研究者、ベンチャーが詳しい時代に
なった。
中央銀行が金利を操作しても、実体経済は紙幣だけでなくバーチャルな金融
手段で動くから、金融政策が全く効果を持たなくなった。我が国の低金利政策
の愚策が良い例だ。
誰もが欲しがる金ではあるが、カネがカネを呼び、さらに増えてゆくには投
機や投資ではなく、実態を伴う売買、取引、生産と消費が正当なのは言うまで
もない。バブルは幻であり、いつかは現実となって怪我をもたらしてきたから
だ。
生産と消費のどちらにも物流活動が欠かせない。伝票は販売や仕入れの証拠
であり、金額が書かれている以上、それは仮想通貨、紙幣の代わりと言えなく
もない。だからこそ、伝票金額を積み上げたものを債権額、負債額として預金
と同じ意味を持っているのだ。
さて、前回に続いて各社の債権額、負債額を肩代わりして受け取るのは、銀
行だけではなく、その裏付けを知っている物流会社であるから、物流が金融を
しないのがオカシイ、と主張すると反論はどれほど湧いてくるだろうか?
<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>