三井物産ロジ・パートナーズ▼「安定の財務基盤が強み」 
2008年10月03日 【物流ウィークリーhttp://www.weekly-net.co.jp/】三井物産ロジスティクス・パートナーズ(東京都千代田区)は、日本ロジスティクスファンド投資法人を運営。日本で初めての物流施設特化型不動産投資信託(REIT)として、05年5月に上場した。
現在のポートフォリオは、取得価格の総計が1004億円、24物件・計55万平方mを保有。同投資法人の立ち上げにもかかわった財務企画部長の上野貴司氏は、「上場3年以内に1000億円を達成するのが目標だったが、この春で無事に到達することができた」と話す。
収益物件を取得し、運用を行う。また、スポンサーとして協力体制にある三井物産やケネディクスとともに、施設開発から手がけるケースもある。約3分の2が既存物件の取得だ。
「施設の売却は基本的に考えない。50年くらいの長期的な視点で運用することを想定している」という運用方針のため、確実に収益を生む施設を取得する必要がある。
投資運用部長の辻博正氏は、「柱間隔11m、梁下高6m、耐荷重1.5tは確保したい。また高床式や昇降機の有無など、取得にあたって何点か見るべきポイントがある」とし、テナントニーズの「最大公約数」を満たすような汎用性の高い施設を取得することで、「空室状況を生まないようにしている」。取得に際しては「必ず現場に足を運び、くまなく確認する」。雇用の確保や、周辺地域との立地状況なども入念に検討する。
なお、同社の方針は「かっこいい施設は作らない」(同)。使い勝手の良さは確保しつつも、過度に高機能な施設を作る(取得する)のではなく、「建設コストを抑えることで賃料を下げ、賃貸有効面積を増やすことで収益を上げる」という。
いたずらに物件の規模を追わず、同氏は「首都圏では大規模物件へのニーズが一巡したという声もある。地方都市では、あまり大きなロットが求められないケースもある」とし、ニーズを見極めた上で取得を進めていく。
投資家に対するリスクを分散するために、物件数もさらに増やす構え。「物流施設は『1施設1テナント』が多く、他の収益不動産に比べると、テナントが離れた時のリスクが高い。そのため、数を増やす必要がある」と上野氏。「100物件・3000億円」を目指して、現在は、首都圏の物件が75%とポートフォリオの多くを占めるが、災害などのリスクも踏まえ、エリアも拡大していく考えだという。
物流不動産市場にいち早く参入した同社。初期に取得した物件が高い利回りとなるなどの先行者メリットもあり、安定した財務基盤を誇っている。現在の利回りは七%を確保。辻氏は、「J―REITに上場しているため、運用状況は非常に透明性が高い。長期運用を前提としているため、テナントにとってもオーナーが変わる心配がなく安心してご入居いただける」と話す。
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